カスミソウの花言葉|色別の意味と由来

カスミソウの花言葉|色別の意味と由来

カスミソウの花言葉は「感謝」「幸福」「清らかな心」「無邪気」「親切」などです。【実測】花しるべが2026年9月14日に照合したところ、この5語は産地・自治体の公式と検索上位の商業サイトの両方に出てきました。ただし業界団体の花言葉辞典が載せているのは「無垢の愛」の1語だけで、産地や自治体の公式も団体ごとに挙げる語が違います。この記事では、どの語がどの資料に載っているのかと、色別の花言葉の出どころ、名前の由来と産地までを扱います。

この記事でわかること

  • 業界団体の辞典に載るのは1語だけ: 花の国日本協議会の花言葉辞典で、カスミソウの語は「無垢の愛」だけです。
  • 「感謝」は産地のPRで使われてきた語: 熊本県のJAグループが平成16年から、いい夫婦の日のPRに「感謝」を使っています。
  • 色別の語は、染めた色に付いている: 自然の花色は白と淡いピンクです。青・紫・赤・黄の語の出どころを書いた資料は見つかりませんでした。
目次

結論:カスミソウの花言葉は「感謝」「幸福」「清らかな心」など。資料ごとに語が違う

業界団体の辞典は「無垢の愛」の1語、産地や自治体の公式は2〜10語を挙げ、語の組み合わせはそろっていません。

花言葉を認定する公的な機関はありません。だから花しるべは「正しい花言葉」を決めず、どの語がどの資料で確認できるかを並べます。下の表は、2026年9月14日に業界団体・産地と自治体の公式・誕生花の表・検索上位8件の商業サイトを照合した結果です。

花言葉 業界団体 産地・自治体の公式 誕生花の表 検索上位8件 花しるべの扱い
感謝 辞典には無し。協議会の発表文にあり JAグループくまもと(PRの理由)・福島県・和歌山県 — 7件 典拠あり
幸福 — 福島県 — 7件 典拠あり
清らかな心・清い心 — 和歌山県(清らかな心)・JAグループくまもと・JA会津よつば(清い心) NHK(清い心) 5件 典拠あり
無邪気 — 福島県・和歌山県 — 6件 典拠あり
親切 — JAグループくまもと・JA会津よつば — 5件 典拠あり
無垢の愛 辞典の唯一の語 — — 2件 典拠あり
切なる願い — JAグループくまもと — 1件(ピンクの語としては多数) 典拠あり
満天の星・清らかな恋・深い思いやり — 昭和村・JA会津よつば — 0件 典拠あり
思えば思われる — JA会津よつば NHK 0件 典拠あり
切なる喜び — — 366(ピンク) 0件 典拠あり
静心 — — 366(白) 0件 諸説あり(1資料のみ)
感激 — — — 1件(ピンク・赤の語として) 諸説あり(商業サイトのみ)
永遠の愛 — — — 英語の花言葉として3件 未確認(出典0件)

産地・自治体の公式と検索上位の両方に出てくるのは、感謝・幸福・清らかな心(清い心)・無邪気・親切の5語です。贈る相手に意味を添えるなら、この5語が資料の裏づけを持つ語になります。ほかの花と同じ基準で並べた一覧は花言葉一覧(花の名前から探す)から引けます。

業界団体の花言葉辞典に載るのは「無垢の愛」だけ

花の国日本協議会のはじめて花言葉辞典で、カスミソウが出てくるのは「愛」のページの1か所で、語は「無垢の愛」です。

【公式仕様】辞典は「カスミソウ 無垢の愛 あなたのピュアな想いがきっと伝わります。」と書き、季節を「通年」としています。このページの見出しは「告白や プロポーズのときに ぴったりの 花言葉を持つ花です。」です(はじめて花言葉辞典「愛」)。2026年9月14日に辞典の全7カテゴリを確認したところ、カスミソウが載っていたのはこの1か所だけでした。同じ辞典の色別ページは「代表的なバラ、ガーベラ、カーネーションの3種類」だけを扱っていて、カスミソウの色別はありません。検索上位8件で「無垢の愛」を挙げていたのは2件でした。

「感謝」を広めたのは産地。熊本県が平成16年からいい夫婦の日に

「感謝」は、熊本県のJAグループくまもと花き部会(以下、部会)が平成16年から、11月のいい夫婦の日のPRに使ってきた語です。

【公式仕様】部会は「花言葉が「感謝」であることから、平成16年より「いい夫婦の日はカスミソウ。」と題して毎年11月にPR活動を実施しております」と書いています(JAグループくまもと花き部会「カスミソウ」)。卸売会社の大田花きも「熊本県は、全国に先駆け、カスミソウの花言葉「感謝」にちなんで、「いい夫婦の日」である11月22日に、カスミソウを贈ることを提案しています」と紹介しています(大田花き)。

和歌山県の冊子も11月22日を「かすみそうの花言葉である「感謝」にちなんで、かすみそうを贈る日」としています。花の国日本協議会も2025年8月の発表文で「“感謝” の花言葉を持つ「カスミソウ」」と書いており、辞典には無い語を、同じ団体が発表文では使っています。

見落としやすいのは、熊本県の部会が同じページの「花言葉」の欄に挙げている語は「清い心・切なる願い・親切」で、「感謝」が入っていないことです。花しるべは、「感謝」が辞典から受け継がれた語ではなく、産地のPRを通じて広まった語だと読みます。ただし平成16年より前に「感謝」を載せた資料があるかは確認できていません。

産地や自治体の公式でも、挙げる語はそろっていない

熊本県の部会が3語、福島県が3語、和歌山県が2語、JA会津よつばが10語を挙げ、4者すべてに共通する語はありません。

  • 【公式仕様】JAグループくまもと花き部会:清い心・切なる願い・親切
  • 【公式仕様】福島県:「感謝」「幸福」「無邪気」等(福島県「宿根かすみそう」)
  • 【公式仕様】和歌山県:無邪気、清らかな心(和歌山県「宿根かすみそう」)
  • 【公式仕様】JA会津よつば:満天の星・清らかな恋・人の魅力を引き出す・思えば思われる・深い思いやり・夢心地・親切・清い心・喜び・感動(JA会津よつば「昭和かすみ草」)
  • 【公式仕様】福島県昭和村:満天の星、清らかな恋、深い思いやりなど(昭和村)

2者で重なるのは、熊本とJA会津よつばの「清い心」「親切」、福島県と和歌山県の「無邪気」などです。産地ごとに、自分たちの花をどう伝えたいかで語を選んでいると見るのが自然です。

白いかすみ草の花言葉:全般の語がそのまま白の語として扱われている

白いかすみ草の花言葉は、全般の「感謝」「清らかな心」などと同じです。白だけに付いた語は、誕生花の表の「静心」です。

【実測】花しるべが確認した業界団体・産地・自治体の資料は、どれも色を分けずに語を挙げていました。花屋に並ぶカスミソウは白が基本(次の見出しの熊本県・米国花き協会の資料)なので、花しるべは、全般の語が、実際には白いカスミソウの語として使われていることになります。

色を指定して語を載せている資料は「誕生花・花ことば366」の表で、4月4日に「カスミソウ(白) 静心」とあります(日本花の会「誕生花・花ことば366」。資料提供元は日本花普及センター)。花しるべの4月4日の誕生花も同じ資料に拠っています。ほかの白い花とは白い花の花言葉で比べられます。

花屋で見るカスミソウが白い理由

切り花の主力品種の花が白く、米国の業界団体も白を最も使われる色としているためです。淡いピンクは少数です。

【公式仕様】熊本県の農業技術情報は、主力品種「アルタイル」を「花持ちが非常に良好で花が白く、茎が固い」と説明しています(熊本県「宿根カスミソウの定植準備について」)。米国花き協会(SAF)は “White is the most commonly used color; however, it is also available in pale pink” と書いています(Society of American Florists)。育種会社Danzigerの品種「Million Stars」も白の花で、花径は0.5cmと公表されています。花の国日本協議会の秋のページも「初雪を思わせる純白の「カスミソウ」」と紹介しています。

色別の花言葉:自然の色は白と淡いピンク。青・紫・赤・黄は染めた色

米国花き協会は切り花の花色を白と淡いピンクとしています。産地の資料では、青・紫・赤・黄は白い花に染料を吸わせた色です。

【公式仕様】JA会津よつばは「白いかすみ草に安全な染料を吸わせ、染め上げます」と説明しています。【実測】染めた色に付いた花言葉の出どころを書いた資料は、調べた範囲では見つかりませんでした。一方で、染めたカスミソウそのものは産地が作っている商品です。和歌山県の冊子は染めがすみを8色、昭和村はピンク・ブルー・ラベンダーなどを紹介しています。花しるべは染めを否定せず、語の出どころが無いことだけを分けて書きます。

色 自然の色か 載っている語 載っている資料
白 自然の色 静心。全般の語が白の語として使われる 誕生花の表・産地と自治体の公式
ピンク 自然の色(淡いピンク)。染めたものもある 切なる喜び/切なる願い・感激 誕生花の表/商業サイト(出典なし)
青・水色 染めた色 清い心、または無邪気 商業サイトのみ(出典なし・サイトで割れる)
紫 染めた色 清らかな心、または夢心地 商業サイトのみ(出典なし)
赤 染めた色 感激 商業サイトのみ(出典なし)
黄 染めた色 語を付けるサイトと「無い」とするサイトがある 商業サイトのみ(出典なし)

ピンク:誕生花の表は「切なる喜び」、商業サイトは「切なる願い」「感激」

ピンクの語は、誕生花の表では「切なる喜び」、検索上位の商業サイトでは「切なる願い」「感激」で、資料の層で分かれます。

「誕生花・花ことば366」は4月12日に「カスミソウ(ピンク) 切なる喜び」と載せています(4月12日の誕生花)。商業サイトのピンクの語は「切なる願い」「感激」でほぼ一致していますが、「切なる願い」は熊本県の部会が色を指定せずに挙げている全般の語で、ピンクに限った語として書いた一次資料はありません。

ピンクのカスミソウには2通りあります。宿根カスミソウの淡いピンクの品種と、花壇向けの一年草のカスミソウのローズ系の品種です。サカタのタネは一年草の「エレガンス ローズ」を扱っています。ほかのピンクの花とはピンクの花の花言葉で比べられます。

青・紫・赤・黄の語は、商業サイトの間でも割れている

染めた色に語を付けているのは検索上位8件のうち6件で、残る2件は「染めた色なので花言葉は無い」としています。

【実測】語を付けている6件のあいだでも、青・水色は「清い心」系と「無邪気」に割れ、紫は5件が「清らかな心」でした。検索結果の要約(AIによる概要)は紫を「夢心地」と答えていましたが、「夢心地」はJA会津よつばが色を指定せずに挙げる10語の1つです。赤は「感激」、黄は2件が「無い」としていました。6件とも、その語をどこから取ったかは書いていません。

花しるべは、染めた色の語を「出どころを書いた資料が無い」と明示したうえで並べます。染めたカスミソウを贈るときは、色の語より、産地の公式に載る全般の語を添えるほうが裏づけがあります。染めた青や紫と自然の青い花は青い花の花言葉・紫の花の花言葉で見分けられます。

染めかすみ草ができるまで(JA会津よつばの説明から)

1 白く咲いたカスミソウを収穫する

2 茎から安全な染料を吸わせる

3 開いていた花が染め色になる。つぼみからは白い花が咲く

4 約1週間後には、白と染め色のバイカラーになる

【公式仕様】原文は「白いかすみ草に安全な染料を吸わせ、染め上げます。」「約1週間後には、白と染め色のバイカラーとなります。」です。同じ枝に白と染め色が並ぶので、染め色は品種の色ではありません。

「怖い花言葉」は、どの資料にも無い

カスミソウに怖い意味の花言葉はありません。業界団体・産地の公式・誕生花の表・検索上位8件のどれにも怖い語はありませんでした。

上の表に並べた語は、感謝・幸福・清い心・無垢の愛・満天の星など、どれも前向きな語です。【実測】検索上位8件のうち「怖い」を取り上げていた6件も、全件が「怖い花言葉は無い」と結論していました。本当に怖い意味を持つ花は怖い花言葉一覧にまとめています。

「怖い」と言われる理由として挙がるのは、用途のイメージだけ

商業サイトが挙げる理由は、葬儀や枕花、お別れの花束に使われるという用途の話で、根拠を示したページはありません。

【実測】「怖い」を扱う6件は、白い小花が弔事の花にも使われることを理由として推測で挙げていました。花言葉が怖いのではなく、使われる場面の印象が語に重ねられているという説明です。花しるべは、用途と花言葉を別のものとして扱います。業界団体の辞典がカスミソウを告白やプロポーズの花のページに載せていることから見ても、贈答で避ける理由にはなりません。

花言葉を誰が決めたのか:辞典と海外の古い花言葉本には載っていない

カスミソウの花言葉を決めた人や機関は確認できません。国語辞典と百科事典、19世紀の英語の花言葉本に語がありません。

【実測】コトバンクの国語辞典・百科事典6点の「かすみそう」「霞草」の項目で、「花言葉」「花ことば」の出現数は0件でした。国立国会図書館のレファレンス協同データベースで花言葉を扱う407事例にも、カスミソウの事例はありませんでした(レファレンス協同データベース)。花言葉全体の成り立ちは意味から花を探すで扱っています。

「永遠の愛」は英語の花言葉として出回っているが、出典が見つからない

「永遠の愛(everlasting love)」を英語圏の花言葉とする紹介に、出典を書いたものは見つかりませんでした。

【実測】検索上位で英語の花言葉を載せていた3件は、everlasting love・purity of heart・innocence などを挙げていましたが、出典は0件でした。19世紀に英語で出た花言葉の本9点(Kate Greenaway『Language of Flowers』1884年、Shoberl 1836年・1840年、Tyas 1845年・1869年、Ingram 1869年・1887年ほか)を全文検索したところ、カスミソウの項目そのものがありませんでした(Project Gutenbergほか。電子化の読み取り漏れの可能性は残ります)。

【公式仕様】米国花き協会(SAF)の花言葉の一覧では、Baby’s Breath の語は “festivity”(祝祭)です(SAF「Meanings of Flowers」)。検索の「他の人はこちらも質問」に出る「カスミソウの花言葉は永遠の愛?」への答えは、資料で確認できる英語圏の業界団体の語は「祝祭」で、「永遠の愛」には出典が無いになります。永遠の愛を意味する花は永遠の愛を意味する花に並べています。

カスミソウという名前の意味:「霞」「石膏を好む」「赤ちゃんの吐息」

和名は花の姿を霞に見立てた名、学名は「石膏を好む」、英名は「赤ちゃんの吐息」で、3つの名前は由来が別々です。

名前 意味 由来 出典
カスミソウ(霞草) 霞のような草 遠くから眺めると霞がかかったように見える 日本国語大辞典・日本大百科全書
Gypsophila(学名) 石膏(白亜)を好む ギリシャ語 gypsos+philein。石灰質の土地に育つ Etymonline・ミズーリ植物園
baby’s breath(英名) 赤ちゃんの吐息 確かな語源は無い。初出は1866年 Merriam-Webster・A Way with Words

和名について、日本国語大辞典は「遠くから眺めるとあたかも霞がかかったように見えるのでこの名がある」、日本大百科全書は「花をつけた草姿を霞がただようようすに見立てたもの」と書いています(コトバンク「かすみそう」)。和歌山県の冊子は「春の野山に棚引く白い春霞を思わせることから名付けられたという」と、春霞に寄せた説明をしています。

学名 Gypsophila は石膏(白亜)を好むという意味

学名はギリシャ語の gypsos(石膏・白亜)と philein(好む)を合わせた語で、仲間が石灰質の土地に育つことに由来します。

語源辞典のEtymonlineは “from Greek gypsos “chalk, gypsum” … + philein “to love”” としており、英語での初出を1771年としています(Etymonline)。ミズーリ植物園は、この属の植物が野生で石灰質の土壌に育つことにちなむ名だと説明しています(Missouri Botanical Garden)。日本語の訳はサイトによって揺れますが、語そのものの意味は石膏・白亜で、石灰質は育つ土地の性質の説明です。

英名 baby’s breath の由来ははっきりしない

英名 baby’s breath は1866年に使われた記録がある語ですが、なぜこの名になったかを確かめた資料はありません。

Merriam-Websterは “The first known use of baby’s breath was in 1866” と書き(Merriam-Webster)、米国の言葉の番組A Way with Wordsは “we don’t really have a firm etymology on baby’s breath” と答えています(A Way with Words)。日本語の「赤ちゃんの吐息」はこの英名の直訳で、昭和村も「別名ベビーズブレス(赤ちゃんの吐息)」と紹介しています。

花屋のカスミソウは宿根カスミソウ。花壇の一年草とは別の種

切り花で流通するのは多年草の宿根カスミソウで、種から育てる一年草のカスミソウとは、学名も原産地も違う別の種です。

【公式仕様】和歌山県は「宿根かすみそうとは、毎年植え替えが必要な一年草に対して、一度植えると毎年花を咲かせる多年草のかすみそうをいいます」と書いています。辞典で「一年草」と「多年草」の説明が混ざるのは、2種を同じ名前で呼んでいるためです。どちらもナデシコ科で、カーネーションと同じ科に入ります。

項目 宿根カスミソウ 一年草のカスミソウ
学名 Gypsophila paniculata Gypsophila elegans
寿命 多年草(一度植えると毎年咲く) 一年草(毎年植え替える)
原産(キュー王立植物園の分布データ) 東中央ヨーロッパ〜西モンゴル ウクライナ南部〜イラン西部・北部
主な使われ方 切り花。統計の品目名は「宿根かすみそう」 花壇・種まき
花色 白が基本、淡いピンク 白のほか、ローズ系の品種がある
花の時期 産地をつないで通年出荷 4〜7月(サカタのタネ「エレガンス ローズ」の表示)

原産地は国内の資料では「地中海沿岸」、分布データでは東欧〜西モンゴル

昭和村やJA高知は「地中海沿岸」と書き、キュー王立植物園の分布データは東中央ヨーロッパ〜西モンゴルとしています。

【公式仕様】JA高知県は「原産地は地中海沿岸で、日本名は、小さな花が霞をかけたようにたくさん咲くことから付けられました」と書いています(JA高知県)。一方、キュー王立植物園のPlants of the World Onlineは、宿根カスミソウを “The native range of this species is E. Central Europe to W. Mongolia. It is a perennial” としています(POWO「Gypsophila paniculata」)。

食い違いは、属と種の範囲の違いで説明がつきます。同じデータベースでカスミソウ属全体の原産は “Medit. to Temp. Eurasia”(地中海〜温帯ユーラシア)で、地中海沿岸は属の範囲に入ります。花しるべは種の分布データを主にし、「地中海沿岸」は国内の資料の通説として並べます。

かすみ草の季節:花屋には一年中ある。産地が季節でつないでいる

業界団体の辞典はカスミソウの季節を「通年」としています。産地の公式では、冬と春は熊本県、夏と秋は福島県の昭和村が出荷します。

【公式仕様】一年草のカスミソウは、サカタのタネの品種表示で4〜7月に咲きます。日本国語大辞典の季語は春です。「季節の花」として探すなら春から初夏、「花屋で買える時期」なら通年と分けて考えると迷いません。産地の出荷時期は次のとおりです。

主な産地の出荷時期(各産地の公式から)

熊本県 冬春期(11〜5月)が中心。最盛期は12月と3〜4月(JAグループくまもと花き部会)

福島県昭和村 6〜11月。夏秋期の出荷量は日本一と村が紹介(昭和村)。県は出荷を6〜10月としています

和歌山県 10月〜6月に2度採花。1番花が11〜12月、2番花が4〜6月(和歌山県の冊子)

夏から秋は福島、冬から春は熊本と和歌山が受け持つので、1年を通して切れ目がありません。

国内の産地:熊本が作付面積・出荷量とも1位

宿根かすみそう(切り花)の出荷量は熊本県が1位で、令和7年産(概数)では全国47,700千本のうち18,100千本です。

【公式仕様】農林水産省の作物統計(花きの作付面積と出荷量)で、品目名「宿根かすみそう」の県別を並べました(e-Stat 令和7年産)。令和7年産は令和8年6月30日公表の概数、令和6年産は確報で、いずれも主産県を対象にした調査です。

都道府県 令和7年産 作付面積(a) 令和7年産 出荷量(千本) 令和6年産 出荷量(千本)
全国 19,700 47,700 47,600
熊本 7,550 18,100 17,900
和歌山 2,590 10,700 9,540
福島 5,610 9,090 9,670
北海道 1,100 2,380 2,390
高知 825 2,100 —

令和7年産では熊本県が全国の出荷量の約38%を占めます。宿根かすみそうは切り花の中では小さな品目で、令和6年産の出荷量は切り花類の合計の約1.7%、統計で表章される10品目の中で最も少ない品目です(e-Stat 令和6年産 切り花類)。

出荷量の2位は年によって和歌山と福島が入れ替わる

出荷量の2位は、令和3〜5年産と令和7年産(概数)が和歌山県で、令和6年産だけが福島県です。

令和6年産は福島県9,670千本、和歌山県9,540千本でした。和歌山県は自県を「全国2位」と紹介していますが、年産を付けずに2位を言い切ると、年によって外れます。令和7年産では、作付面積は福島県が和歌山県の2倍以上あるのに、出荷量は和歌山県が上回っています。

カスミソウを贈る日:7月7日と11月22日

カスミソウを贈る日として紹介されているのは、7月7日の「カスミソウの日」と、11月22日のいい夫婦の日です。

11月22日は、先に見たとおり「感謝」の花言葉にちなんで熊本県が提案してきた日です。7月7日については、青山フラワーマーケットが2026年6月の発表で、無数の白い小花が夜空の星屑のように見えることからカスミソウの日とされていると説明し、七夕の時期にカスミソウを販売しています。

業界団体の辞典は、カスミソウを告白やプロポーズの花のページに載せています。語は「無垢の愛」です。贈る場面では、組み合わせる花と束の形を先に決めることになります。

告白やプロポーズで渡すなら、主役の花の本数と予算を先に決めます。→ プロポーズの花束|本数・予算・渡し方

カスミソウを添えた束の形と大きさは、場面で選び方が変わります。→ 花束の意味とブーケとの違い|シーン別の選び方

7月7日「カスミソウの日」は、誰が決めたかを確認できない

7月7日をカスミソウの日と紹介する資料は複数ありますが、誰がいつ定めたかを書いた資料は確認できませんでした。

和歌山県の冊子、昭和村の「かすみ草の村」宣言、青山フラワーマーケットの発表は、どれも日付と、小花を星空や星屑に例える説明だけを書いています。花しるべは、制定した団体や年を推測で補わず、「確認できない」と書きます。

かすみ草の誕生花:日付は資料によって違う

カスミソウを誕生花とする日は、「誕生花・花ことば366」では4月4日と4月12日、NHKラジオ深夜便では5月25日です。

日付 資料 色の指定 載っている花言葉
4月4日 誕生花・花ことば366 白 静心
4月12日 誕生花・花ことば366 ピンク 切なる喜び
5月25日 NHKラジオ深夜便「誕生日の花と花ことば」 なし 清い心 思えば思われる

NHKラジオ深夜便の366日の表でカスミソウが出るのは5月25日の1日だけです(NHK財団)。一方「誕生花・花ことば366」では、5月25日はニチニチソウになっています。【実測】検索上位のサイトでは11月30日・5月21日・6月1日など8種類の日付が出てきましたが、出典を書いたページはありませんでした。

誕生花に決まった基準はありません。小野市立図書館はレファレンス協同データベースで「地域や研究者によって、誕生花も花言葉も、種類や内容が異なるのが普通です」と回答しています(レファレンス協同データベース)。月ごとの一覧は4月の誕生花・5月の誕生花で見られます。

カスミソウの花言葉のよくある質問

Q. 造花やドライフラワーのカスミソウにも花言葉はありますか。

A. 形の違いで別の花言葉を載せている資料はありません。花言葉は植物に付いた語なので、ドライフラワーでも生花と同じ語を添えられます。米国花き協会はカスミソウを “dries well”(乾かしやすい)とし、花の国日本協議会も「ドライフラワーにしても楽しめます」と書いています。造花だけに与えられた語は見つかりませんでした。

Q. カスミソウは猫や犬に毒ですか。

A. 資料によって扱いが分かれるので、食べさせない前提で飾ってください。ASPCA(米国動物虐待防止協会)の現行のページは、Baby’s Breath(Gypsophila elegans)を犬・猫・馬に “Non-Toxic” とし、食べると嘔吐や下痢などの軽い胃腸症状が出ることがあるとしています。ただし2017年に保存された同じページは “Toxic” で、原因物質を Gyposenin としていました。民間のPet Poison Helplineも、サポニンの一種で胃腸を刺激するとしています(程度は軽度)。厚生労働省の自然毒のリスクプロファイルと日本中毒情報センターには掲載がありません。吐く・下痢が続くときは動物病院に相談してください。

Q. 本数によって花言葉は変わりますか。

A. カスミソウの本数ごとの意味を載せた資料は確認できませんでした。業界団体の辞典には本数のカテゴリがありますが、カスミソウは載っていません。本数に意味を持たせて贈るならバラの花言葉を参照してください。

Q. 「満天の星」という花言葉はどこから来たのですか。

A. 福島県昭和村とJA会津よつばが挙げている語です。業界団体の辞典や検索上位の商業サイトには出てきません。昭和村は、初夏から晩秋にかけて「満天の星」を思わせる無数の花を咲かせると紹介しており、花の姿を星空に見立てた語だと読めます。ただしこの語を誰がいつ付けたかは、2つの資料とも書いていません。

Q. 切り花のカスミソウはどれくらい持ちますか。

A. 米国花き協会は「1週間ほど」としています。原文は “lives up to a week” です。品種によって差があり、育種会社Danzigerは品種「Million Stars」の日持ちを “+14 days”(14日以上)と公表しています。これは育種会社の公表値です。

Q. 「昭和かすみ草」とは何ですか。

A. 福島県昭和村を中心に作られる宿根カスミソウで、国の地理的表示(GI)に登録された産品です。登録番号は第134号、登録日は令和5年7月20日です(農林水産省 登録簿)。昭和村は、夏秋期に6〜11月の出荷で年間430万本(2020年)と紹介しています。

まとめ

カスミソウの花言葉は、誰が言っているかを見れば範囲が決まります。業界団体は1語、産地と自治体は団体ごとに2〜10語です。

花しるべの考え:カスミソウは「産地が語を持つ花」

1つ目の段 辞典と百科事典、19世紀の英語の花言葉本には語がありません。業界団体の辞典にあるのも「無垢の愛」の1語です。

2つ目の段 「感謝」「清い心」「満天の星」などの語は、熊本・福島・和歌山の産地や自治体が挙げています。「感謝」は平成16年から熊本県のPRで使われてきました。

3つ目の段 自然の花色は白と淡いピンクで、青・紫・赤・黄は染めた色です。染めた色の語と「永遠の愛」には出典が見つかりません。

ほかの花の語と資料の厚みを比べるなら花言葉一覧(花の名前から探す)から、色の意味をまとめて見るなら色から探すから入れます。

参考情報

  • はじめて花言葉辞典「愛」(花の国日本協議会) https://hajimetehanaya.jp/hanakotoba/ai/
  • はじめて花言葉辞典「色」(花の国日本協議会) https://hajimetehanaya.jp/hanakotoba/iro/
  • 花の国日本協議会「秋」 https://hajimetehanaya.jp/zubora/autumn/
  • 花の国日本協議会 プレスリリース(2025年8月8日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000054763.html
  • JAグループくまもと花き部会「カスミソウ」 https://www.jakk.or.jp/kakibukai/babys-breath/
  • 熊本県「宿根カスミソウの定植準備について」 https://agri-kumamoto.jp/cultivation/data/%E5%AE%BF%E6%A0%B9%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%BD%E3%82%A6%E3%81%AE-%E5%AE%9A%E6%A4%8D%E6%BA%96%E5%82%99%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
  • 福島県「宿根かすみそう」 https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36035c/syukkonnkasumisou.html
  • 和歌山県「宿根かすみそう」 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070300/d00207425.html
  • 和歌山県「わかやまブランドストーリー 宿根かすみそう」(冊子) https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070300/d00207425_d/fil/wakayama_kasumisou.pdf
  • 昭和村「かすみ草の村」宣言 https://www.vill.showa.fukushima.jp/news/4014/
  • 昭和村「昭和かすみ草」(村の紹介) https://www.vill.showa.fukushima.jp/introduction/367/
  • JA会津よつば「昭和かすみ草とは」 https://aizuyotuba.jp/products/showa_kasumi_about/
  • JA高知県「宿根カスミソウ」 https://ja-kochi.or.jp/agriculture/products/flower/872/
  • 大田花き ショールーム「いい夫婦の日はカスミソウを贈る日。」 https://otakaki.co.jp/showroom/20251119/
  • 農林水産省「地理的表示 登録第134号 昭和かすみ草」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/0134/index.html
  • e-Stat 作物統計 花き(令和7年産) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files/data?sinfid=000040460193&ext=xls
  • e-Stat 作物統計 花き(令和6年産) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040359386&fileKind=0
  • e-Stat 作物統計 切り花類(令和6年産) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040359380&fileKind=0
  • 日本花の会「誕生花・花ことば366」 https://www.hananokai.or.jp/city-about/hanakotoba366/
  • NHK財団「誕生日の花と花ことば」 https://www.nhk-fdn.or.jp/radio/j_flower.html
  • コトバンク「かすみそう」 https://kotobank.jp/word/%E3%81%8B%E3%81%99%E3%81%BF%E3%81%9D%E3%81%86-3147344
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  • Merriam-Webster「baby’s breath」 https://www.merriam-webster.com/dictionary/baby%27s%20breath
  • A Way with Words「Origin of the name baby’s breath」 https://waywordradio.org/origin-of-name-of-babys-breath-flower-name/
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  • Plants of the World Online「Gypsophila」 https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:6285-1
  • サカタのタネ「カスミソウ エレガンス ローズ」 https://sakata-netshop.com/shop/g/g32600067/
  • Danziger「MILLION STARS」 https://www.danzigeronline.com/catalog/cut_flowers_catalog/million-stars/
  • ASPCA「Baby’s Breath」 https://www.aspca.org/pet-care/aspca-poison-control/toxic-and-non-toxic-plants/babys-breath
  • ASPCA「Baby’s Breath」(2017年2月10日の保存版) https://web.archive.org/web/20170210091811/https://www.aspca.org/pet-care/animal-poison-control/toxic-and-non-toxic-plants/babys-breath
  • Pet Poison Helpline「Baby’s Breath」 https://www.petpoisonhelpline.com/poison/babys-breath/
  • 厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
  • Project Gutenberg「Language of Flowers」(Kate Greenaway) https://www.gutenberg.org/cache/epub/31591/pg31591.txt
  • 日本農業新聞(2026年4月22日) https://www.agrinews.co.jp/society/index/375918
  • 福島テレビ(2025年7月10日) https://www.fukushima-tv.co.jp/tv-news/2025/07/045610.html
  • 青山フラワーマーケット プレスリリース(2026年6月25日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000188.000007230.html
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