すずらん(鈴蘭)の花言葉は「再び幸せが訪れる」「純潔」「純粋」「謙遜」です。【実測】花しるべが2026年9月16日に、業界団体の花言葉辞典・NHKの誕生花の表・花言葉の辞典サイト7本の合わせて9本を照合したところ、典拠を確認できた語は7つで、意味が食い違う語は1つもありませんでした。一方でこの花には、贈る前に知っておく情報が別にあります。東京都が「スズランを差した花ビンの水を飲んでも、中毒を起こすことがあります」と書いている、全草の毒です。この記事では、7語がどの資料に載っているのか、毒について公的機関が何を書いているのかを扱います。花言葉一覧(花の名前から探す)から花の名前で引くこともできます。
この記事でわかること
- 典拠を確認できた語は7つ: 「再び幸せが訪れる」「純潔」「純粋」「謙遜」に、業界団体の「幸福の訪れ」とNHKの「純愛」「希望」が加わります。
- 怖い花言葉を載せる資料は0本: 9本を突き合わせても、負の意味の語も、意味が食い違う語も出てきませんでした。
- 贈る前に知る毒: 全草に毒があり、東京都は花を差した花瓶の水でも中毒することがあると書いています。加熱しても毒は残ります。
すずらんの花言葉は「再び幸せが訪れる」。資料9本で確かめた7語
9本の資料で典拠を確認できた語は7つあり、意味が食い違う語は1つもありませんでした。
花言葉を認定する公的な機関はありません。だから花しるべは「正しい花言葉」を決めず、どの語がどの資料で確認できるかを並べます。下の表は、業界団体の「はじめて花言葉辞典」、NHKラジオ深夜便の誕生花の表、収集済みの花言葉サイト7本を2026年9月16日に突き合わせた結果です。
| 花言葉 | はじめて花言葉辞典 | NHKラジオ深夜便 | 花言葉.net | HanaPrime | Bloomee | 本数 | 花しるべの扱い |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 再び幸せが訪れる | — | — | あり | あり | あり | 3 | 典拠あり |
| 純潔 | — | — | あり | あり | あり | 3 | 典拠あり |
| 純粋 | — | — | あり | あり | — | 2 | 典拠あり |
| 謙遜 | — | — | あり | あり | — | 2 | 典拠あり |
| 幸福の訪れ | あり | — | — | — | — | 1 | 典拠あり(業界団体は単独で可) |
| 純愛 | — | あり | — | — | — | 1 | 典拠あり(放送は単独で可) |
| 希望 | — | あり | — | — | — | 1 | 典拠あり(放送は単独で可) |
| 愛らしい・かわいらしい | — | — | — | あり(ピンクの項) | — | 1 | 典拠にしない(1本のみ) |
| 優しさ | — | — | あり(海外の項) | — | — | 1 | 典拠にしない(1本のみ) |
残る4本、つまり language-of-flowers.com・hananokotoba.com・季節の花300・Wikipedia日本語版には、スズラン・すずらん・鈴蘭・ドイツスズランのどの表記でも収載がありませんでした。花言葉を載せるサイトでも、扱っていない花はあります。「幸せ」の意味を持つ花は「幸せ」の花言葉を持つ花にまとめました。
花しるべの判定基準は、花言葉の辞典サイト(E階層)が2本以上の一致で典拠あり、業界団体・放送(A階層)は1本でも典拠ありです。すずらんは、A階層とE階層の両方で語を確認できました。同じ基準の例はコスモスの花言葉やカスミソウの花言葉にもあります。
3本の資料が一致する語は「再び幸せが訪れる」と「純潔」
花言葉.net・HanaPrime・Bloomeeの3本すべてに、この2語がそろって載っています。
花言葉.netは「再び幸せが訪れる・純粋・純潔・謙遜」、HanaPrimeは「再び幸せが訪れる・謙遜・純粋・純潔」と、語の順番が違うだけで中身は同じです。Bloomeeは5月1日の誕生花のページで「純潔・再び幸せが訪れる」の2語を挙げます。意味がぶつかる箇所はありませんでした。
「再び幸せが訪れる」は、一度失った幸せが戻るという向きの語で、門出よりも回復や再出発の場面に寄ります。「純潔」「純粋」「謙遜」は、うつむいて咲く白い小花の姿と結びつけて説明される語です。
業界団体と放送が載せる語は「幸福の訪れ」「純愛」「希望」
花の国日本協議会は「幸福の訪れ」1語、NHKラジオ深夜便は「純愛・希望」の2語です。
【公式仕様】一般社団法人 花の国日本協議会が運営する「はじめて花言葉辞典」は、すずらんに「幸福の訪れ」の1語だけを与えています。花言葉サイトが並べる「再び幸せが訪れる」とは語形が違い、「再び」がありません。NHK財団の「誕生日の花と花ことば」は、5月1日の花をスズランとし、花ことばを「純愛・希望」としています。
【実測】この3語は、花しるべのマスターデータに入っていませんでした。花言葉サイト側の4語だけで作っていたためです。本記事の公開に合わせて7語に直しました。
色別の花言葉:白しかない花に、色別の語が出てくる理由
すずらんの花の色は白で、色別の語を載せている資料は9本のうち1本だけでした。
【実測】花しるべの色データでも、すずらんの色は白の1色です。国立科学博物館 筑波実験植物園の記載も「5月に白い花が咲き、液果は球形で赤く熟す」です。それでも検索結果には色別の花言葉が並びます。出どころは、園芸品種として流通しているピンクの株です。白い花の語は白の花言葉にまとめました。
ピンクのすずらんの花言葉
ピンクは「ピンクドイツスズラン」という品種の色で、語を載せる資料は1本しかありません。
【実測】ピンクの項に「愛らしい」「かわいらしい」を載せているのはHanaPrimeの1本だけでした。花しるべの基準では、辞典サイトが1本だけの語は典拠にしません。紹介しているページは検索結果に複数ありますが、どれも出どころを書いていません。
【実測】「ピンクのスズラン」の検索で上位に並ぶのは、大和農園・岩崎園芸・中越植物園などの苗の通販ページです。株を買いたい検索なので、この記事では苗の買い方や育て方を扱いません。ピンクの花の語はピンクの花言葉にまとめています。
「怖い花言葉」は資料9本のどこにも無い
負の意味を載せる資料は0本で、意味が食い違って諸説ありになる語も0語でした。
【実測】9本を突き合わせた結果、別れ・死・裏切りといった向きの語は1つも出てきませんでした。HanaPrimeは見出しで「すずらんには怖い花言葉はありません。」と書き切っています。2026年9月16日の検索結果の上位10件のうち「怖い」を扱っている4件も、全件が否定で終わっていました。
資料によって負の語を持つ花は怖い花言葉を持つ花の一覧にまとめました。
怖いと言われる正体は、花言葉ではなく毒
東京都が、花を差した花瓶の水を飲んでも中毒を起こすことがあると書いています。
【実測】「怖い」を扱う上位ページのうち何件かは、怖い意味が無いと書いたあとで毒性の話を持ち出し、怖さを回収していました。花しるべはこの2つを分けます。花言葉としての負の意味は無い。毒は別にあり、公的機関が名指しで注意を出している。
すずらんは全草が有毒。花瓶の水でも中毒する
毒成分はコンバラトキシンなどで、全草に含まれ、特に花の部分に多く含まれます。
【公式仕様】東京都保健医療局「食品衛生の窓」は、間違えやすい有毒植物の1つとしてスズランの単独ページを置いています。有毒成分は「コンバラトキシンなどで、全草に含まれますが、特に花の部分に多く含まれます。」、誤食部位は「葉、花など」、症状は「強心作用」。そして「スズランを差した花ビンの水を飲んでも、中毒を起こすことがあります。」と明記しています。
花を飾るときに気をつけること(東京都・北海道立衛生研究所の記載から)
花瓶の水を、小さな子どもやペットが飲める場所に置かない
水を替えたあとの古い水を、手の届くところに残さない
花や葉が落ちたら拾う。毒は花の部分に多い
口に入れたあとで吐く・脈が乱れるなどがあれば、飲んだ量を伝えて医療機関に相談する
【公式仕様】英国王立園芸協会(RHS)も「TOXIC if eaten.(食べると有毒)」「TOXIC to pets(ペットに有毒)」と書き、扱うときは手袋などの保護具を着けるようにとしています。北海道庁の解説も「全草が有毒植物なので注意が必要である」で終わります。
毒の強さはジギタリスの10〜15倍
北海道立衛生研究所の報文が、強心作用はジギタリスの10〜15倍の強さだとしています。
【公式仕様】北海道立衛生研究所 所報 第62集の「有毒植物スズラン調理品中のコンバラトキシン残留量」は、緒言で「コンバラトキシンなどによる強心作用(ジギタリスの10〜15倍の強さ)があり,多量に摂取すると呼吸停止,心不全状態に陥り死に至る」と書いています。同じ報文は、2011年7月1日に採取した生葉のコンバラトキシン含量を117.17±78.09 μg/gと実測しています。
【実測】検索結果には、致死量のミリグラム数や「青酸カリの何倍」といった数字も並びますが、出どころは園芸系のまとめサイトまでしかたどれません。報文が比べているのはジギタリスであって、青酸カリではありません。花しるべは、たどれない数字を書きません。
加熱しても残る。おひたしで74%、油炒めで40%
沸騰水で2分ゆでても74%が残り、そのうち3分の1は茹で汁のほうへ移りました。
【公式仕様】同じ報文の実験結果です。油炒め(250℃・1分)では未調理品55.7 μgに対して22.1 μgで残存率40%、おひたし(沸騰水2分)では未調理品91.4 μgに対しておひたし67.8 μg・茹で汁34.2 μg・冷水1.3 μgで残存率74%でした。報文は「1/3 が茹で汁に移行した」と書いています。
| 調理 | 条件 | 未調理品 | 調理後 | 茹で汁 | 残存率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 油炒め | 250℃・1分 | 55.7 μg | 22.1 μg | — | 40% |
| おひたし | 沸騰水・2分 | 91.4 μg | 67.8 μg | 34.2 μg | 74% |
【公式仕様】報文は、コンバラトキシンが水溶性(500 mg/L)であることも書いています。これが、花瓶の水に毒が溶け出すという東京都の記載とつながります。
「花瓶の水で子どもが死亡」はどこまで裏が取れるか
国立国会図書館のレファレンスが、詳しい事例の出典は特定できなかったとしています。
【実測】この話の出どころは2つの書籍です。1つは朝日新聞社編『薬草毒草300』(1986年)の、熱病で入院中の子どもが夜中に枕元のコップの水を飲み、翌朝死亡していたという記述。もう1つは植松黎『毒草を食べてみた』(2000年)の、旧西ドイツで3歳の女の子が亡くなったという記述です。
【実測】国立国会図書館のレファレンス協同データベースには、この記述の出典を調べた記録が残っています。回答は「当館資料やweb検索では詳しい事例の出典は特定できなかった」でした。発生した年月日も場所も特定できていないということです。
花しるべは、この話を日付と場所のついた事故としては書きません。書けるのは、書籍に記述があり、行政が花瓶の水に注意を促し、水溶性という機序の実測値もある、というところまでです。
それでも「事故が多い花」ではない。統計での位置づけ
厚生労働省の過去10年の表にも、北海道と札幌市の事例一覧にも、すずらんの行はありません。
【公式仕様】厚生労働省の「過去10年間の有毒植物による食中毒発生状況(平成28年〜令和7年)」は、合計218件・患者688名・死亡17名を集計しています。この表にスズラン単独の行はありません。同省の「自然毒のリスクプロファイル」高等植物にも、スズランの独立ページはありません。
| 原因植物 | 事件数 | 患者数 | 死者数 |
|---|---|---|---|
| スイセン | 74 | 227 | 1 |
| イヌサフラン | 22 | 30 | 13 |
| バイケイソウ類 | 22 | 35 | 0 |
| トリカブト類 | 11 | 18 | 1 |
| グロリオサ | 6 | 8 | 2 |
| スズラン | 掲載なし | 掲載なし | 掲載なし |
| 合計(全植物) | 218 | 688 | 17 |
【実測】北海道の中毒事例一覧(令和3年〜令和8年)と、札幌市の発生事例一覧(昭和58年4月〜令和8年4月の全14件)も同じです。並んでいるのはイヌサフラン・トリカブト・スイセン・ドクニンジン・チョウセンアサガオ・ユウガオで、スズランの行はありません。
ここから言えるのは、公的な食中毒統計にすずらんを原因と特定した記録は見当たらない、ということまでです。事故が起きていないという意味ではありません。有毒と言われながら統計に出てこない点は、ポインセチアの花言葉で扱った状況と似ています。
行政が名指しするのはギョウジャニンニクとの誤食
農林水産省・札幌市・小樽市が、山菜と間違えやすい有毒植物としてすずらんを挙げています。
【公式仕様】農林水産省のリーフレット(平成28年5月作成)は「【間違えやすい有毒植物】コルチカム(イヌサフラン)、スズラン、バイケイソウ類など」と書いています。小樽市は2026年4月17日の注意喚起で「園芸用の『スズラン』も有毒成分を含み、ギョウジャニンニクと誤食する恐れがあります」としました。
【公式仕様】札幌市保健所の「代表的な毒草と似ている山菜等」の表にもスズランが載り、似ている山菜としてギョウジャニンニク・ユキザサ・アマドコロ、中毒症状として「おう吐、頭痛、呼吸まひ」を挙げています。北海道立衛生研究所の報文は、芽出しがオオアマドコロとギョウジャニンニクに、展開した葉がギョウジャニンニクに似るとしています。
すずらんに似た花:花が似た4種と、葉が似た山菜
花の形が似ているのはスノーフレーク・ドウダンツツジ・スノードロップ・アセビです。
【実測】2026年9月16日の検索で「スズランに似た花」の上位が挙げる定番がこの4種でした。「スズランみたいな花」もほぼ同じ顔ぶれが並びます。
| 花 | 別名・分類 | 咲く時期 | すずらんとの違い |
|---|---|---|---|
| スノーフレーク | スズランスイセン。ヒガンバナ科 | 3〜4月 | 葉が水仙のように細長い。花びらの先に緑の点がある |
| スノードロップ | マツユキソウ。ヒガンバナ科 | 2〜3月 | 1本の茎に花が1つだけ下がる。外側の3枚が大きく開く |
| ドウダンツツジ | 灯台躑躅。ツツジ科 | 4〜5月 | 草ではなく木。枝分かれした枝先に壺形の花が付く |
| アセビ | 馬酔木。ツツジ科 | 2〜4月 | 低木で、房になった花が枝から垂れ下がる |
【公式仕様】このうちスノーフレークは、厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」高等植物に掲載があります。スズランには独立ページがありません。
葉が似ているのはギョウジャニンニク・ユキザサ・アマドコロ
決め手はにおいで、ギョウジャニンニクにはニンニク臭があり、すずらんにはありません。
【公式仕様】農林水産省のリーフレットは「ギョウジャニンニクの葉茎には特有の強烈なニンニク臭があるが、コルチカム(イヌサフラン)、スズラン、バイケイソウ類の葉にはニンニク臭はない」と書き、スズランの識別点として「葉の根元には赤紫色のハカマ(さや)。」も挙げています。
山菜と間違えないための確かめ方(農林水産省・ノルウェー毒物情報センターの記載から)
葉をちぎってにおいを嗅ぐ。ニンニクやネギのにおいがしなければ、ギョウジャニンニクではない
葉の根元を見る。すずらんは赤紫色のハカマ(さや)に包まれている
1本の茎から出ている葉の枚数を数える。すずらんは2枚
見分けられないものは採らない、食べない、人にあげない
【公式仕様】ノルウェーの毒物情報センターも、すずらんとラムソン(野生のニンニク)の取り違えを防ぐ解説を出しています(最終更新 2026年5月18日)。決め手は、におい、1本の茎に葉が2枚で赤い鞘があること、葉脈の間隔、花の形です。
すずらんの種類:ドイツスズランとニホンスズラン
園芸店や花屋で見るものの多くは、ヨーロッパ原産のドイツスズランのほうです。
【公式仕様】農林水産省のリーフレットは「園芸種の多くはドイツスズラン。」と書いています。北海道立衛生研究所の報文も「観賞用にヨーロッパ原産のドイツスズラン C. majalis があり,身近な場所で栽培されているが,有毒であることはあまり知られていない」としています。日本に自生するニホンスズランは Convallaria keiskei Miq. で、北海道・本州・九州に分布します。
見分けるのは葉の大きさと香りの強さ
北海道庁は、ドイツスズランを日本の野生種より大型で芳香が強いと説明しています。
【公式仕様】ニホンスズランは、葉が卵状楕円形で長さ10〜18cm・幅3〜7cm、1本の花茎に花が10個内外つきます(国立科学博物館 筑波実験植物園)。北海道庁は、現在よく栽培されているのは大型で芳香の強いドイツスズランだとしています。
【実測】毒性はこの2種で扱いが分かれません。北海道立衛生研究所の報文は、両方が全草にコンバラトキシン・コンバロシド・コンバラトキソールを含むとしています。園芸種だから安全ということはありません。
英語の花言葉 “return of happiness” は1884年の本に載っている
1884年のケイト・グリーナウェイの本に、花からも意味からも引ける形で載っています。
【公式仕様】Kate Greenaway『Language of Flowers』(George Routledge、1884年)は、花から意味を引く表に「Lily of the Valley|Return of happiness.」、意味から花を引く表に「Return of happiness|Lily of the Valley.」と、双方向で同じ対応を載せています。日本語の「再び幸せが訪れる」は、この訳としてつながります。
| 英語の語 | Greenaway 1884 | Old Farmer’s Almanac | RHS・キューガーデン | 花しるべの扱い |
|---|---|---|---|---|
| return of happiness | あり(双方向) | a return to happiness | 記載なし | 典拠あり(1884年の原本) |
| humility | 記載なし | あり(2ページ) | 記載なし | 典拠あり(Almanac) |
| sweetness | 白ユリの項 | あり(2ページ) | 記載なし | 典拠あり(Almanac) |
| purity | 白ユリの項 | あり(2ページ) | 記載なし | 典拠あり(Almanac) |
| motherhood | 記載なし | あり(2ページ) | 記載なし | 典拠あり(Almanac) |
| Tears of the Virgin Mary | 記載なし | あり(一覧表) | 記載なし | 典拠あり(Almanac) |
【実測】The Old Farmer’s Almanac は5月の誕生花のページで「motherhood, sweetness, purity, and humility」の4語を挙げ、続けて「It signifies a return to happiness」と書いています。前置詞が of ではなく to です。同じAlmanacの別ページの一覧表は3語で、return of happiness を含みません。
purity・sweetness は同じ本では「白ユリ」の項
1884年の本でこの2語が付いているのは Lily, White、つまり白ユリの項でした。
【実測】Greenawayの原本には「Lily, White|Purity. Sweetness.」という行があります。Lily of the Valley の項には、purity も sweetness も humility もありません。「西洋の花言葉は純粋」と書くときにこの本を出典にしているページがありますが、原本の該当行は別の花のものです。
花しるべは、この2語をAlmanacの記載として扱います。名前に lily が入っていても、すずらんはユリではありません。Almanacも「not actually a lily but rather a member of the asparagus family, Asparagaceae」と書いています。白ユリの語はユリの花言葉にまとめました。
RHSとキューガーデンは花言葉を載せていない
英国王立園芸協会のページに載っているのは、栽培の情報と毒性の警告だけでした。
【実測】RHSの種のページにあるのは、草丈25cmまでの多年草であること、香りのある白い釣鐘形の花が下向きに並ぶこと、食べると有毒でペットにも有毒であることです。花言葉やシンボリズムの項目そのものがありません。キューガーデンも、扱っているのは分類と栽培と毒性でした。
5月1日「すずらんの日」:フランス政府が認めた例外
フランスでは路上での花の販売は原則禁止で、5月1日だけが例外として扱われています。
【公式仕様】フランス政府の公式サイト service-public.gouv.fr は「la vente de muguet le 1er mai fait office d’exception(5月1日のミュゲの販売は例外にあたる)」と書いています。無許可の路上販売は刑法446-1条・446-3条にあたり、この日だけ個人や団体にも販売が認められます。市の条例が定める条件は6つです。
| # | 条件 | 原文の該当箇所 |
|---|---|---|
| 1 | 花屋の近くに出店しない(距離は市の条例による) | ne pas s’installer à proximité d’un fleuriste |
| 2 | 森で採った野生のミュゲだけを売る | vendre uniquement du muguet sauvage cueilli dans les bois |
| 3 | 少量だけ売る | vendre en petite quantité |
| 4 | 茎1本ずつ、ほかの花を足さず、包装もしない | vendre en brin sans ajouter d’autres fleurs au bouquet et sans emballage |
| 5 | 売り場と分かるテーブル・架台・椅子を使わない | ne pas utiliser de tables, tréteaux ou chaises |
| 6 | 歩行者や車の危険・妨げにならないようにする | ne pas constituer un danger ou une gêne pour les piétons et les véhicules |
【公式仕様】フランス農業省は、この習慣の起点をルネサンス期のシャルル9世としています。ドローム地方でミュゲの茎を受け取った王が、その習慣を宮廷に定めたという説明で、年号は書かれていません。生産は80%超がナント地方に集中し、野生のミュゲは販売の約10%です。
【実測】業界団体VALHORによると、2024年に約130万世帯がミュゲを買い、売上は1,940万ユーロでした。5月1日は生花店にとって年間4番目に売れる日です。France 3 Normandie(2026年4月29日)は、2025年に路上の売り子から買った人が8%、生花店が36%だったと報じています。
【実測】日本の主要紙・通信社・公的機関による「ミュゲの日」の報道は見つかりませんでした。検索で出るのは花屋や花材店のブログです。書けるのは、北海道の公式ページが「英国やフランスでは、5月1日にこの花束を贈ると、その人に幸せがやってくるという風習がある」と書いている、そこまでです。
日本での5月1日・5月3日の誕生花
5月1日を挙げる資料が5本、5月3日が2本で、資料によって日付がばらつきます。
【実測】2026年9月16日にあたった誕生花の資料は5本で、5月1日にすずらんを挙げているのはその5本すべて(全国花育活動推進協議会・NHKラジオ深夜便・Bloomee・花言葉.net・HanaPrime)。5月3日は全国花育活動推進協議会とHanaPrimeの2本です。HanaPrimeはさらに5月5日・5月24日・5月28日も挙げ、1本の中で5日あります。日付は1つに定まりません。
花しるべのデータでは5月1日の主役がエーデルワイスで、すずらんは同じ日のもう1つの花、5月3日の主役がすずらんです。5月1日の誕生花と5月3日の誕生花で確かめられます。5月のもう1つの贈答の花はカーネーションの花言葉にまとめています。
すずらんの季節:花は5月、群生地の見頃は5月下旬から
札幌市の花暦では5月中旬から下旬に咲き、切り花として出回るのは4月と5月です。
【公式仕様】札幌市の花暦は、すずらんの「花が咲く時期」を5月中旬〜5月下旬としています。国立科学博物館 筑波実験植物園も5月、東京都のページは「初夏」、北海道庁は4月・5月・6月の3つを立てています。地域と株で前後するため、資料ごとに幅があります。切り花としての流通月は4月と5月です。
北海道公式が挙げるすずらんの名所(6か所)
平取町 芽生すずらん群生地 野生の群生地として日本一の約15ヘクタール。一般開放は5月下旬〜6月上旬のみ、入園無料
札幌市 国営滝野すずらん丘陵公園
美瑛町 北西の丘展望公園
浜頓別町 ベニヤ原生花園
中札内村 中札内美術村・六花の森/観音山公園
【公式仕様】平取町の芽生すずらん群生地は、昭和50年以降に絶滅に近い状態となったため公開を禁止し、長い年月をかけて回復させた場所です。一般開放が5月下旬から6月上旬だけなのはそのためです。
すずらんを束にして贈るなら、合わせる花と、飾ったあとの水の扱いを先に決めます。→ 花束の意味とブーケとの違い|シーン別の選び方
札幌市の花であって、北海道の「道の花」ではない
北海道の道の花はハマナスで、すずらんを花に定めているのは道内の13市町村です。
【公式仕様】北海道の公式ページによると、道の花はハマナス(昭和53年7月26日指定)、道の木はエゾマツ、道の鳥はタンチョウです。すずらんは入っていません。すずらんを市町村の花にしているのは、札幌市・恵庭市・砂川市・釧路市・平取町・美瑛町・津別町・音更町・士幌町・上士幌町・清水町・中札内村・更別村の13市町村です(北海道の一覧・平成26年3月現在)。
【公式仕様】札幌市の花としてのすずらんは、1960年(昭和35年)11月に市民投票で決まりました。同じときに市の木がライラック、市の鳥がカッコウに決まっています。
熊本県では採取が禁止されている
熊本県は県の条例で指定希少野生動植物とし、県内全域での採取を禁止しています。
【公式仕様】熊本県のレッドリストでスズランは絶滅危惧IB類(EN)で、「熊本県野生動植物の多様性の保全に関する条例」の指定希少野生動植物に平成17年5月20日付で指定されています。県内全域で捕獲・採取・殺傷・損傷が禁止です。栃木県と那須塩原市では絶滅危惧II類(Bランク)です。
【実測】一方で、環境省のレッドリストにスズランの掲載はありませんでした。国の指定は無く、県ごとに扱いが分かれています。野山で見かけても、採ってよいかどうかは県や市町村の指定を確かめてください。
名前の由来と別名:鈴蘭・君影草・谷間の姫百合
国語辞典が別名として立てているのは、君影草と谷間の姫百合の2つだけでした。
【公式仕様】デジタル大辞泉と精選版 日本国語大辞典は、別名として「きみかげそう(君影草)」「たにまのひめゆり(谷間の姫百合)」を挙げています。精選版は君影草を「すずらん(鈴蘭)」の異名とし、用例の出典を『日本植物名彙』(1884年)としています。
【実測】「谷間の百合」はコトバンクでは植物の項目ではなく、バルザックの長編小説(1835年刊)の項目でした。すずらんの別名としては立項されていません。似た言い回しですが、辞書のうえでは別のものです。
【公式仕様】科の扱いは辞典どうしで割れています。デジタル大辞泉はキジカクシ科、精選版 日本国語大辞典はユリ科です。ユリ科は旧分類で、Almanac・RHS・国立科学博物館はキジカクシ科(クサスギカズラ科)としています。季語は精選版が「夏」です。
英語の別名は10個ある
英国王立園芸協会の登録には、May bells や lady’s tears など10個が並びます。
【公式仕様】RHSが挙げている common name は「Clych enid, conval lily, lady’s tears, liriconfancy, May bells, May lily, mayflower, mugget, Our Lady’s tears, word lily」です。5月の鐘、聖母の涙と、咲く時期と宗教画のモチーフに寄っていて、日本語の「君影草」「谷間の姫百合」とは名づけの向きが違います。
すずらんの花言葉のよくある質問
Q. すずらんの花言葉は「幸せ」ですか。
A. 幸せに関わる語は2つあり、資料が別です。花言葉サイト3本が挙げるのは「再び幸せが訪れる」、業界団体の「はじめて花言葉辞典」が挙げるのは「幸福の訪れ」です。語形が違うので、別の語として並べています。
Q. すずらんに怖い花言葉はありますか。
A. 資料9本のどれにもありません。【実測】負の意味の語は0本、意味が食い違う語も0語でした。2026年9月16日の上位10件のうち「怖い」を扱う4件も全件が否定です。怖い語を持つ花は怖い花言葉を持つ花の一覧にまとめました。
Q. すずらんは何月の花ですか。
A. 花が咲くのは5月です。【公式仕様】札幌市の花暦は5月中旬〜5月下旬、国立科学博物館 筑波実験植物園は5月です。切り花として出回るのは4月と5月、平取町の群生地の一般開放は5月下旬から6月上旬です。
Q. すずらんを挿した花瓶の水は危ないのですか。
A. 東京都が「スズランを差した花ビンの水を飲んでも、中毒を起こすことがあります。」と明記しています。【公式仕様】北海道立衛生研究所の報文は、毒成分のコンバラトキシンが水溶性(500 mg/L)だとしています。小さな子どもやペットの手が届く場所に水を置かないでください。
Q. すずらんは縁起が良い花ですか。
A. 贈答の習慣がある花です。【公式仕様】北海道の公式ページは「英国やフランスでは、5月1日にこの花束を贈ると、その人に幸せがやってくるという風習がある」と書いています。ただし全草に毒があるので、小さな子どもやペットのいる家に贈るときは、水と落ちた花の扱いを一言添えてください。
Q. すずらんはフランス語で何といいますか。
A. ミュゲ(muguet)です。【公式仕様】フランス政府と農業省のページは、この花を muguet と表記しています。5月1日は、路上販売が例外的に認められる日です。英語では lily of the valley で、RHSは10個の別名を登録しています。
まとめ
すずらんの花言葉は資料がそろっている花で、迷うのは語ではなく贈り方のほうです。
花しるべの考え:すずらんは「語が割れない花」で、注意は語の外にある
1つ目の段 資料9本を突き合わせても、意味が食い違う語は0でした。典拠を確認できた語は「再び幸せが訪れる」「純潔」「純粋」「謙遜」「幸福の訪れ」「純愛」「希望」の7つです。
2つ目の段 怖い花言葉を載せる資料は0本です。色別の語も、ピンクを載せる資料が1本あるだけで、花の色は白の1色です。
3つ目の段 注意すべきことは花言葉ではなく、全草の毒の側にあります。東京都は花瓶の水でも中毒することがあると書き、加熱しても毒は残ります。
ほかの花の語と資料の厚みを比べるなら花言葉一覧(花の名前から探す)から、意味から花を探すなら意味から花を探す、色から探すなら色から花を探す、日付から探すなら誕生花を日付から探すから入れます。
参考情報
- 東京都保健医療局「食品衛生の窓 スズラン」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/dokusou/19.html
- 北海道立衛生研究所 所報 第62集「有毒植物スズラン調理品中のコンバラトキシン残留量」 http://www.iph.pref.hokkaido.jp/Kankobutsu/Shoho/annual62/12_n06.pdf
- 農林水産省「ギョウジャニンニクとイヌサフラン等の見分け方」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/rinsanbutsu/pdf/02gyouja.pdf
- 厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/yuudoku/index.html
- 厚生労働省「過去10年間の有毒植物による食中毒発生状況」 https://www.mhlw.go.jp/content/001464746.pdf
- 厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル(高等植物)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
- 札幌市保健所「毒草による食中毒」 https://www.city.sapporo.jp/hokenjo/shoku/chudoku/dokuso.html
- 小樽市「山菜の採取と有毒植物に注意」 https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2026041500017/
- 北海道「有毒植物による食中毒に注意しましょう!」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kse/sho/tyu/kus/103029.html
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース(花瓶の水の事例の出典調査) https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?page=ref_view&id=1000116015
- 国立科学博物館 筑波実験植物園「スズラン」 https://tbg.kahaku.go.jp/recommend/illustrated/result.php?name=%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%83%A9%E3%83%B3
- 北海道「花の紹介 スズラン(鈴蘭)」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/tkn/hana/flower/hs013.html
- 北海道「北海道のシンボル」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/bns/symbol.html
- 北海道「市町村の木と花」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/sky/homepage/midori/midori-homepage/kitohana_00.html
- 札幌市「さっぽろのあらまし」 https://www.city.sapporo.jp/kids/shoukai/aramashi.html
- 札幌市「花暦 スズラン」 https://www.city.sapporo.jp/ryokuka/hanaki/hanagoyomi/suzuran.html
- 平取町「芽生すずらん群生地」 https://www.town.biratori.hokkaido.jp/soshikikarasagasu/kankoshokoka/kankoshokokakari/1/3/2/412.html
- 熊本県「レッドリストくまもと2024」 https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/275225.pdf
- 那須塩原市「レッドリスト2023」 https://www.city.nasushiobara.tochigi.jp/material/files/group/13/RL2023.pdf
- はじめて花言葉辞典(一般社団法人 花の国日本協議会) https://hajimetehanaya.jp/hanakotoba/ai/
- NHK財団「誕生日の花と花ことば」 https://www.nhk-fdn.or.jp/radio/j_flower.html
- 花言葉.net「すずらん」 https://hanakotoba.net/suzuran/
- HanaPrime「すずらんの花言葉」 https://hanaprime.jp/language-flower/convallaria-majalis/
- Project Gutenberg「Language of Flowers」(Kate Greenaway, 1884) https://www.gutenberg.org/files/31591/31591-h/31591-h.htm
- The Old Farmer’s Almanac「May Birth Flowers」 https://www.almanac.com/content/may-birth-flowers
- The Old Farmer’s Almanac「Flower Meanings」 https://www.almanac.com/flower-meanings-language-flowers
- RHS「Convallaria majalis」 https://www.rhs.org.uk/plants/4327/convallaria-majalis-lily-of-the-valley-conval-lily/details
- ASPCA「Lily of the Valley」 https://www.aspca.org/pet-care/aspca-poison-control/toxic-and-non-toxic-plants/lily-valley
- Helsenorge(ノルウェー毒物情報センター)「How to avoid mistaking lily of the valley for wild garlic」 https://www.helsenorge.no/en/poison-information/planter-og-bar-a-a/how-to-avoid-mistaking-lily-of-the-valley-for-wild-garlic/
- service-public.gouv.fr「Vente de muguet le 1er mai」 https://www.service-public.gouv.fr/particuliers/actualites/A12565
- Ministère de l’Agriculture「Le 1er mai, offrez du muguet」 https://agriculture.gouv.fr/le-1er-mai-offrez-du-muguet
- VALHOR「Vente du muguet sur la voie publique」 https://www.valhor.fr/actualites/vente-du-muguet-sur-la-voie-publique
- France 3 Normandie(2026年4月29日) https://france3-regions.franceinfo.fr/normandie/vous-voulez-vendre-du-muguet-le-1er-mai-quelques-regles-a-retenir-avant-de-s-installer-3341693.html
- コトバンク「鈴蘭」 https://kotobank.jp/word/%E9%88%B4%E8%98%AD-541898
- コトバンク「君影草」 https://kotobank.jp/word/%E5%90%9B%E5%BD%B1%E8%8D%89-475732
- コトバンク「谷間の百合」 https://kotobank.jp/word/%E8%B0%B7%E9%96%93%E3%81%AE%E7%99%BE%E5%90%88-93953

