タチアオイの花言葉と花の特徴|色・種類・葉、ムクゲとの違いを資料10本で確かめる

タチアオイの花言葉と花の特徴|色・種類・葉、ムクゲとの違いを資料10本で確かめる

タチアオイ(立葵)は、アオイ科の草花です。人の背丈を超える花穂に、直径10cmほどの花を下から上へ順に咲かせます。【実測】花しるべが2026年10月6日に資料10本を照合したところ、花言葉は「豊かな実り」が9本に、「大望」「野心」「気高く威厳に満ちた美」が8本ずつに載っていました。

この記事でわかること

  • 花の特徴と資料の幅: 高さは1〜3m、花期は6〜8月、原産地は中央アジアともトルコ由来の栽培起源種とも書かれます。資料ごとの書き方を表で並べます。
  • 資料10本で数えた花言葉: 全般の語は「豊かな実り」が9本。色ごとの語を載せるのは10本中3本で、そろうのは黄色の「開放的」だけです。「野心」は1851年と1884年の英語の事典にも載っています。
  • 似た花と「葵」の違い: ムクゲ・フヨウは同じアオイ科の木です。葵祭と徳川家の紋の葵はフタバアオイで、タチアオイではありません。

ほかの花の語と資料の厚みは、花の名前から花言葉を探す一覧で比べられます。

目次

タチアオイとは|背丈を超える花穂に径10cmの花が並ぶ

タチアオイはアオイ科の草花で、高さ1〜3mの花穂に径10cmほどの花を下から順に咲かせます。

【公式仕様】コトバンク「タチアオイ」に収録された日本大百科全書は、タチアオイをアオイ科の多年草とし、園芸では英名のホリホックの名で呼ぶことが多いと書いています。全体が硬い毛で覆われ、花穂は高さ2〜3mになり、花の付く部分だけで1mを超えます。花は葉の付け根に付き、径は約10cmです。一重咲きと八重咲きがあり、農家の庭先などで普通に見られる花だと説明しています。

高さの書き方は資料で幅があります。同じページの改訂新版 世界大百科事典は高さ1〜2m、Wikipedia日本語版「タチアオイ」は草丈1〜3m、英語版「Alcea rosea」は2.4mまで、花径は約13cmとしています。世界大百科事典はハナアオイという別名と、漢名の蜀葵(しょくき)も挙げています。花しるべは高さを1つの数字に決めず、資料ごとの数を並べて書きます。

花穂のつくり(辞書と報道の記述から)

上の段 まだ開いていない丸いつぼみが、茎の先まで並びます。

中の段 いま咲いている花です。日本花の会の研究員の話では、1つの花が咲いているのは2〜3日ほどです。

下の段 先に咲き終わった花です。世界大百科事典は、花が茎の下から順次上部へ咲き進むと書いています。

花は6〜8月に茎の下から上へ咲き進む

花期は6〜8月で、茎の下の葉の付け根から咲き始め、日を追って上の花へ咲き進みます。

【公式仕様】世界大百科事典は、6〜8月に葉の付け根へ1〜2個ずつ花を付け、茎の下から順に上へ咲いていくと書いています。Wikipedia日本語版も花期を6〜8月とし、花茎の下から上に咲き上ると説明しています。季節の花300「立葵」は開花を5月下旬〜8月中旬としていて、始まりと終わりは資料で少しずれます。

ウェザーニュースの2026年7月12日の記事では、日本花の会の小山徹研究員が、1つ1つの花は2〜3日ほど咲き、下から順番に次々と新しい花が開くと話しています。1本の花穂のなかに、咲き終わった花と、咲いている花と、つぼみが同時に並ぶのはこのためです。

原産地は資料で割れる

原産地は1つに決まらず、辞書は中央アジア、キュー王立植物園はトルコ由来の栽培起源種とします。

【公式仕様】原産地は、開く資料によって書き方が違います。中国とする説、中央アジアとする説、トルコと東ヨーロッパの種の雑種とする説が並んでいます。花しるべは1か所に言い切らず、資料ごとの書き方を並べます。

資料 原産地の書き方
改訂新版 世界大百科事典 中央アジア原産
日本花の会 小山徹研究員(ウェザーニュース 2026年7月12日) 中国西部から中央アジア原産
季節の花300 小アジアまたは中国原産
Wikipedia日本語版 当初は中国原産と考えられたが、現在はトルコ原産種と東ヨーロッパ原産種との雑種とする説が有力
Wikipedia英語版 15世紀かそれ以前に中国南西部からヨーロッパへ伝わった
キュー王立植物園 Plants of the World Online トルコ由来の栽培起源種(as a cultigen from Türkiye)。雑種の組み合わせは「おそらく A. biennis × A. setosa」(2026年10月6日に取得)

キュー王立植物園のデータベース(Plants of the World Online)は、学名 Alcea rosea L. を1753年にリンネが発表した名として受理し、二年草または多年草としています。野生の分布ではなく、人が育てる中で生まれた植物として原産域を書いているのが、ほかの資料との違いです。この記述は取得した日の内容です。

タチアオイの花言葉は「豊かな実り」「大望」「野心」「気高く威厳に満ちた美」

資料10本のうち「豊かな実り」が9本、「大望」「野心」「気高く威厳に満ちた美」が8本ずつに載っています。

【実測】花しるべは、2026年10月6日に「タチアオイ 花言葉 色別 由来」でGoogle検索して返ったWebページの上位10件を資料にし、本文を読んで語ごとに載っている本数を数えました。関連記事の欄やサイドバーに出る語は数えていません。資料の番号は、記事の後半の「照合した資料10本」の一覧と同じです。

花言葉 載っている本数(10本中) 載せている資料の番号
豊かな実り 9本 1・2・3・4・5・6・8・9・10
大望 8本 1・4・5・6・7・8・9・10
野心 8本 1・3・5・6・7・8・9・10
気高く威厳に満ちた美 8本 1・3・4・5・7・8・9・10
高貴 4本 1・5・7・10
開放的 4本 1・5・7・10(1・7・10は黄色の語として)
大きな志 2本 7・10
率直 2本 7・10(どちらも黄色の語として)
使命・平安・熱烈な恋・豊穣 各2本 5・10
野望 1本 2

1本だけの語には、ほかに神聖・温厚・恩恵・母の愛(資料1)や、伝令・大志(資料10)などがあります。

「大望」「野心」「大きな志」のように、志や成功にかかわる語が多いのがタチアオイの特徴です。同じ方向の語をもつ花は成功にかかわる花言葉の花と希望にかかわる花言葉の花で、意味の一覧は意味から花を探すで見られます。

「野心」と「豊かな実り」は19世紀の英語の事典にある

1851年と1884年の英語の事典が野心(Ambition)を当て、1884年の事典は Fecundity も載せます。

【実測】10本の資料に、花言葉の原典の書名は1件も出てきませんでした。そこで花しるべは、19世紀に英語で出た花言葉の事典2冊を、Project Gutenberg の全文で確かめました。

1851年に出たヘンリエッタ・デュモンの『The Language of Flowers』は、Hollyhock の項に Ambition を当てています。理由として、背が高くそびえ、見せたがるように咲く姿を挙げています。1884年に出たケイト・グリーナウェイの『Language of Flowers』は、Hollyhock に Ambition と Fecundity の2語を当てています。Fecundity は多産、実りの多さを指す語で、日本語の資料が載せる「豊かな実り」と意味が重なります。英語版Wikipediaの「Alcea」も、ヴィクトリア朝の花言葉でタチアオイが ambition と fecundity を表したと書いています。

一方で、「高貴」と「気高く威厳に満ちた美」は、この2冊のタチアオイの項にありませんでした。日本語の資料が載せるこの2語がいつ、どこから来たのかは、今回の照合では分かりませんでした。

確かめ方:19世紀の事典は全文を検索できます

Project Gutenberg は、著作権の切れた本をテキストで公開しているサイトです。デュモンの本は電子書籍番号71779、グリーナウェイの本は31591です。

テキスト版を開いて「Hollyhock」で検索すると、本文の該当行に当たります。花しるべが本数に数えた日本語の資料10本とは別に、原典にさかのぼるための確かめ方です。

由来の説明は資料ごとに違い、出典を示す資料は無い

由来の説明はまっすぐ伸びる姿、種の多さ、英名の3通りに分かれ、出典を示す資料は0本でした。

【実測】10本のうち、まっすぐ高く伸びる姿から「大望」「野心」や「気高く威厳に満ちた美」が来たと説明する資料が5本、種をたくさんつけることから「豊かな実り」が来たと説明する資料が4本、英名の hollyhock から説明する資料が1本ありました。どの説明にも、出典となる本や記録の名前は付いていません。

ただし、背の高さを野心に結びつける説明は、1851年のデュモンの事典にすでに書かれています。日本語の資料の説明と、19世紀の事典の説明は同じ方向を向いています。

【実測】贈るときの気持ちについては、資料4と資料6が怖い意味は無いと書き、資料5は「野心」を少しネガティブにとらえる人もいると添えています。資料10本に、怖い意味として載せている語はありませんでした。

色別の花言葉|色ごとに分けるのは10本中3本

色ごとの語を載せるのは10本中3本で、3本がそろうのは黄色の「開放的」だけです。

【実測】資料10本のうち、色ごとの花言葉を載せていたのは資料1(花言葉.net)・資料7(花言葉事典)・資料10(チルの工房 花札庵)の3本でした。資料5(kurashi-no)は、タチアオイには色別の花言葉はないと書いています。残りの6本は色別の語に触れていません。色別の語は「ある」とも「ない」とも言い切れず、載せる資料が少ない、というのが照合の結果です。

色 資料1の「日本」欄 資料1の「海外」欄 資料7 資料10
白 高貴・神聖 野心 載せていない 載せていない
赤 母の愛 肥沃 載せていない 載せていない
ピンク 温厚・恩恵 豊かな実り 載せていない 載せていない
黄 素直・開放的 大望 率直・開放的 率直・開放的
紫 大望・豊かな実り・気高く威厳に満ちた美 愛への献身 載せていない 載せていない

白・赤・ピンク・紫の語は、資料1の1本だけが載せています。贈る花の色に意味をこめたいときは、全般の4語のほうが資料の裏付けが厚いと言えます。ほかの花の色ごとの語は色から花言葉を探すで比べられます。

赤とピンクのタチアオイ

赤と桃色は辞書が挙げる花色で、色ごとの語を載せる資料は10本中1本だけです。

【公式仕様】日本大百科全書は、タチアオイの花色を赤・藤桃・桃・淡黄・白色などと書いています。世界大百科事典は白・黄・赤・桃・赤紫・黒紅などを挙げています。

色ごとの語では、資料1が赤に「母の愛」、ピンクに「温厚」「恩恵」を当てています。ほかの9本には赤とピンクの語がありません。赤い花やピンクの花をほかの花と比べるなら、赤い花の花言葉とピンクの花の花言葉にまとめています。

白のタチアオイ

白は辞書が挙げる花色で、白に高貴・神聖を当てる資料は10本中1本だけです。

【公式仕様】白は、日本大百科全書と世界大百科事典の両方が挙げる花色です。日本大百科全書によると、江戸時代の園芸書『花壇地錦抄』(1695年)にも雪白の名で出てきます。

「高貴」は全般の語としては4本に載っていますが、白の語として当てるのは資料1だけです。資料1は海外の白の語として「野心」も挙げています。白い花の語を比べるなら白い花の花言葉から探せます。

黄色のタチアオイは3本が「開放的」とする

黄色に「開放的」を当てる資料が3本あり、色別の語で3本がそろうのはこの1語だけです。

【実測】資料1は黄色に「素直」「開放的」を、資料7と資料10は「率直」「開放的」を当てています。「素直」と「率直」は表記の違いで、3本とも黄色の語の方向はそろっています。

花色としての黄は、日本大百科全書が淡黄、世界大百科事典が黄と書いています。資料5は、8月18日の誕生花を黄色のタチアオイとしていますが、その出典は書いていません。ほかの黄色い花の語は黄色い花の花言葉で見られます。

黒に近いタチアオイ

世界大百科事典は花色に黒紅を挙げ、英語圏には黒に近い暗い色の品種があります。

【公式仕様】英語版Wikipediaの「Alcea rosea」は、黒い花の栽培品種として ‘Nigra’ を挙げています。「Alcea」の項は、黒に近い暗い紫赤の品種として ‘The Watchman’ を挙げています。1851年のデュモンの事典も、タチアオイの花色を黒みがかった紫から淡い白までと書いています。江戸時代の『花壇地錦抄』にある「うすずみ」も、墨を薄めたような色を指す名前です。

資料10本に、黒の語を載せる資料はありません。

タチアオイの種類|一重と八重、その年に咲く品種

花の形には一重と八重があり、春に種をまくとその年の夏に咲く一年生の品種もあります。

【公式仕様】日本大百科全書は、一重咲きと八重咲きがあるとしたうえで、一年生の新種としてマジョレットとシルバーパフを挙げています。どちらも早春に種をまくと高さ1〜1.5mになり、その年の夏に咲きます。英語版Wikipediaは、八重咲きや黒に近い色の栽培品種を挙げています。

種類・品種 特徴 出典
一重咲き 径約10cmの皿形の花が花穂に並ぶ 日本大百科全書
八重咲き 花びらが重なる。江戸時代の『花壇地錦抄』(1695年)にすでに載る 日本大百科全書
マジョレット 一年生の新種。早春にまくと高さ1〜1.5mでその年の夏に咲く 日本大百科全書
シルバーパフ 一年生の新種。マジョレットと同じくその年の夏に咲く 日本大百科全書
‘Chater’s Double’ 八重咲きの栽培品種 Wikipedia英語版「Alcea」
‘The Watchman’ 黒に近い暗い紫赤の栽培品種 Wikipedia英語版「Alcea」
‘Nigra’ 黒い花の栽培品種 Wikipedia英語版「Alcea rosea」

多年草か二年草かは資料で割れる

日本大百科全書は多年草、世界大百科事典は二年草ないし多年草と書き、英語版は3通りの書き方を挙げています。

【公式仕様】タチアオイが何年草かは、資料によって書き方が違います。日本大百科全書は多年草、世界大百科事典は二年草ないし多年草、キュー王立植物園のデータベースは二年草または多年草としています。英語版Wikipediaは、二年草とも一年草とも短命な多年草とも書かれると、書き方が分かれていること自体を説明しています。同じ項は、こぼれた種で増えやすいとも書いています。

タチアオイ属は83種、学名には2通りの書き方がある

キュー王立植物園はタチアオイ属に83種を数え、学名は Alcea rosea とも Althaea rosea とも書かれます。

【公式仕様】キュー王立植物園のデータベースのタチアオイ属(Alcea L.)は、受理された種を83種とし、属の原産域を中央ヨーロッパ東部から地中海東部、中央アジアまでとしています(2026年10月6日に取得)。

Wikipedia日本語版は学名を Althaea rosea とし、Alcea rosea をシノニム(同じ植物の別の学名)として挙げています。Althaea はビロードアオイ(英名 marsh mallow)の属の名前で、ギリシャ語の althaino(治療する)と関係があるとされます。世界大百科事典は、タチアオイの根と花を薬用に、若葉を食用にすることがあり、薬用としてはビロードアオイが有名だと書いています。キュー王立植物園の分類では、タチアオイは Alcea 属、ビロードアオイは Althaea 属で、別の属に分けられています。

タチアオイの葉っぱ|大きく、全体に毛がある

葉は大きく長い柄があり、毛に覆われます。形は心臓形とも、手のひらのように深く裂けるとも書かれます。

【公式仕様】葉の形の書き方は、辞書によって違います。日本大百科全書は、全体が硬い毛で覆われ、葉は心臓形だと書いています。世界大百科事典は、葉は茎に互い違いに付き、大きく、手のひらのように深く裂けて長い柄があると書いています。英語版Wikipediaは、大きなハート形の葉としています。

花しるべは、どちらか一方の形に決めずに両方の書き方を載せます。花が咲いていない時期にタチアオイと見分けるときは、まっすぐ立つ太い茎と、毛のある大きな葉が手がかりになります。

英語版Wikipediaの「Alcea rosea」は、葉がさび病などにかかりやすいとも書いています。

ムクゲ・フヨウとの違い|草か木か

タチアオイは草で、ムクゲとフヨウは同じアオイ科の木です。花の付き方と咲く時期も違います。

【公式仕様】3つともアオイ科です。いちばん大きな違いは、タチアオイが毎年茎を伸ばす草なのに対して、ムクゲとフヨウは幹と枝が残る落葉低木だという点です。下の表は、日本大百科全書を主に、数の違う資料を併記して並べたものです。

比べるところ タチアオイ ムクゲ フヨウ
草か木か 多年草(二年草とする資料もある) 落葉低木 落葉低木
学名 Alcea rosea(Althaea rosea とも) Hibiscus syriacus Hibiscus mutabilis
高さ 花穂2〜3m(世界大百科事典は1〜2m) 2〜3m(Wikipedia日本語版は3〜4m) 1〜3m
花期 6〜8月 8〜9月(Wikipedia日本語版は7〜10月) 7〜10月
花の径 約10cm 5〜8cm(Wikipedia日本語版は5〜10cm) 10〜13cm
花の付き方 まっすぐな1本の花穂の葉の付け根に、下から上へ順に咲く 枝先の葉の付け根に1つずつ咲く 葉の付け根に淡紅色の花が咲く

見分けるときは、まず花が1本の高い茎に縦に並んでいるか、枝分かれした木に咲いているかを見ます。縦に並んでいればタチアオイです。木に咲いていて、花がタチアオイより小さめならムクゲ、大きめで淡い紅色ならフヨウの見当がつきます。Wikipedia日本語版「ムクゲ」によると、ムクゲの中国名は木槿で、朝に開いて夕方にしぼむ花として朝開暮落花とも呼ばれます。

花びらの間にすきまがある大きな花なら、北アメリカ原産のモミジアオイも候補になります。世界大百科事典によると、モミジアオイは8〜9月に径10〜15cmの花を咲かせ、中国名を紅蜀葵といいます。

英語の althea はどちらも指す

英語の althea は、ムクゲを指すこともあれば、タチアオイの仲間を指すこともある語です。

【公式仕様】Dictionary.com の althea の項は、1つ目の意味を rose of Sharon(ムクゲ、Hibiscus syriacus)とし、別の意味として、タチアオイやビロードアオイを含む Althaea 属の植物を挙げています。

Wikipedia日本語版は、英名の hollyhock も必ずしもタチアオイだけを指すわけではなく、Alcea 属のほかの種や別の属の植物も指すと注意しています。名前の似た英語では、Merriam-Webster が hollyhock tree をオーストラリアの低木 Hibiscus splendens としていて、ムクゲともタチアオイとも別の植物です。

「葵」と呼ばれる植物|葵祭と徳川家の紋はフタバアオイ

葵祭と徳川家の紋の葵は、ウマノスズクサ科のフタバアオイで、アオイ科のタチアオイではありません。

【公式仕様】コトバンク「葵」の精選版 日本国語大辞典は、「あおい」をアオイ科の植物、タチアオイ・フユアオイ・ゼニアオイ・トロロアオイ・モミジアオイなどの俗称と書いています。「葵」の字は、1つの植物ではなく、いくつもの植物の呼び名として使われてきました。

コトバンク「フタバアオイ」によると、フタバアオイはウマノスズクサ科の多年草で、カモアオイとも呼ばれます。京都の賀茂祭は葵祭とも呼ばれ、その葵はフタバアオイです。徳川家の三つ葉葵の紋も、フタバアオイの葉3枚を図案にしたものです。世界大百科事典も、徳川家の葵の紋のアオイはフタバアオイだと書いています。

「葵」と呼ばれるおもな植物(辞書の記述から)

フタバアオイ ウマノスズクサ科。葵祭と徳川家の三つ葉葵の紋の葵です。

タチアオイ アオイ科。この記事の花で、ハナアオイ、ホリホックとも呼ばれます。

フユアオイ アオイ科。世界大百科事典は、江戸時代以降はフユアオイもアオイと呼ばれることが多いと書いています。

ゼニアオイ・トロロアオイ・モミジアオイ アオイ科。精選版 日本国語大辞典が「あおい」の俗称に挙げる植物です。

英語版Wikipediaの「Alcea」は、葵祭を Hollyhock Festival と訳して紹介していますが、辞書の記述に従えば葵祭の葵はフタバアオイです。Wikipedia日本語版は、タチアオイを「花あおい」と呼ぶこともあるものの、学術的にはハナアオイ属などの別の植物を指すので注意が要ると書いています。

サッカーの水戸ホーリーホックの名前も、この「葵」から来ています。Wikipedia日本語版によると、水戸徳川家の家紋が葵であることから、タチアオイの英名ホリホックをチーム名にしました。

梅雨葵|てっぺんまで咲くと梅雨明けという言い伝え

梅雨入りのころ下から咲き始め、てっぺんまで咲くと梅雨が明けるという言い伝えから、梅雨葵とも呼ばれます。

【公式仕様】Wikipedia日本語版は、梅雨入りのころに花茎の下から咲き始め、てっぺんまで咲き上がるころに梅雨が終わることから、梅雨葵(つゆあおい)と呼ばれると書いています。

ウェザーニュースの2026年7月19日の記事は、花が咲き始めてから一番上まで咲き終わるまでにおよそ40〜50日かかり、日本の平均的な梅雨の期間である約1か月半とほぼ重なると書いています。咲き進む日数と梅雨の長さが近いことは、ウェザーニュースの記事が書く比べ方です。一方で、資料4のOggi.jpは、この言い伝えに科学的な根拠はないと書いています。

【公式仕様】気象庁は、季節の進み具合を植物で見る生物季節観測を続けています。気象庁の生物季節観測のページによると、2021年1月1日からの観測種目は、うめの開花、さくらの開花と満開、あじさいの開花、すすきの開花、いちょうの黄葉と落葉、かえでの紅葉と落葉です。タチアオイは観測種目に入っていません。梅雨葵は、気象の観測ではなく、季節の言い伝えとして読むのが資料に沿った読み方です。梅雨のころに咲く花の語は、アジサイの花言葉でも資料を照合しています。

名前の由来と歴史|からあおいから立葵へ

平安時代の辞書は「からあおい」と書き、江戸時代に今の「立葵」の名になったとされます。

【公式仕様】日本大百科全書によると、タチアオイは平安時代までに日本へ渡来したようで、901年ころの辞書『新撰字鏡』にある「加良保比(からあおい)」と、918年ころの『本草和名』にある「加良阿布比(からあおい)」は、タチアオイであろうとされています。季節の花300は、平安時代は「唐葵」、江戸時代に今の「立葵」の名になったと書いています。

資料2のLOVEGREENは、直立した茎にアオイに似た花を咲かせるので「立葵」と呼ぶ、と名前の由来を説明しています。「あおい」の語については、季節の花300が、葉が太陽の方に向かう「あうひ(仰日)」の意味だという説を挙げています。北海道の一部では、花びらの根元の粘りを使って顔に付け、ニワトリのまねをして遊んだことから「コケコッコ花」とも呼ばれると、Wikipedia日本語版は書いています。

タチアオイの歩み(資料に年が書かれているものを並べた年表)

約5万年前 シャニダール洞窟で、ネアンデルタール人の埋葬骨とともにタチアオイ属などの花粉が見つかっています(日本大百科全書)。

紀元前2世紀 中国の辞書『爾雅』に名前が見えます(日本大百科全書)。

901年ころ・918年ころ 日本の『新撰字鏡』と『本草和名』に「からあおい」の名が出ます(日本大百科全書)。

1695年 『花壇地錦抄』に、くれない・むらさき・うすずみ・雪白の花色と八重咲きが載ります(日本大百科全書)。

1753年 リンネが学名 Alcea rosea を発表しました(キュー王立植物園)。

1851年・1884年 英語の花言葉の事典が Ambition(野心)と Fecundity を当てています(Project Gutenberg の全文)。

英名 hollyhock の由来は諸説ある

英名 hollyhock の由来には、神聖とゼニアオイを合わせた説、十字軍の説、16世紀の命名の説などがあります。

【公式仕様】Wikipedia日本語版は、Holly は神聖、Hock はアングロサクソン語でゼニアオイを指す Hoc から来たと説明したうえで、12世紀ごろに十字軍がもたらした説、16〜17世紀に清教徒が持ち込んだ説などの諸説があると書いています。英語版Wikipediaの「Alcea rosea」は、16世紀の博物学者ウィリアム・ターナーが holyoke と名付け、英名はそこから来たとしています。

十字軍の説について、花しるべは裏付けとなる当時の記録を確かめられませんでした。だから、どれか1つを正しい由来とはせず、諸説があるという書き方にとどめます。

中国では唐代まで主要な花だった

中国では蜀葵などの名で古くから育てられ、唐代にボタンが台頭するまで主要な花だったとされます。

【公式仕様】日本大百科全書は、タチアオイを人類が利用したもっとも古い花の1つとし、中国では最古の花卉(観賞用の草花)で、紀元前2世紀の『爾雅』に名前が見えると書いています。中国では戎葵・蜀葵・胡葵などと呼ばれ、唐代にボタンが台頭するまでは主要な花卉の1つでした。季節の花300も、唐の時代より前は蜀葵の名で名花とされたと書いています。

タチアオイは何月何日の誕生花か

資料で日付が割れ、1日には決まりません。日付を書く8本のうち、6月23日が6本で最も多く載っています。

【実測】資料10本のうち、タチアオイを誕生花とする日付を書いていたのは8本でした。資料6と資料9は日付を書いていません。資料2は本文に日付が無く、関連記事の題名にだけ6月15日が出てくるので数えていません。

日付 載っている本数(日付を書く8本中) 載せている資料の番号
6月23日 6本 1・3・4・5・8・10
6月18日 5本 1・3・5・8・10
8月18日 5本 1・3・5・8・10(資料5は黄色のタチアオイとして)
6月15日 2本 7・10
5月22日・6月20日・6月21日・7月8日・7月18日 各1本 10

誕生花は、本や資料ごとに日付の決め方が違うので、同じ花が何日にも出てきます。Wikipedia日本語版は、誕生花の出典として瀧井康勝『366日 誕生花の本』(1990年)を脚注に挙げています。

花しるべの誕生花のページでは、6月18日の誕生花をタチアオイとし、別の説としてオオマツヨイグサを載せています。7月2日の誕生花はフロックスで、別の説としてタチアオイを挙げています。ほかの日の花は誕生花を日付から探すで見られます。

照合した資料10本と、この記事の調べ方

検索で返った上位10件を資料にし、語ごとに載っている本数を数え、植物の事実は辞書から取りました。

この記事の本数は、すべて下の10本を数えた結果です。選び方は、2026年10月6日に「タチアオイ 花言葉 色別 由来」でGoogle検索して返ったWebページの上位10件です。動画とSNS投稿の枠は除いています。すべてWebの資料で、書籍は含みません。

照合した資料10本(2026年10月6日に照合)

資料1 花言葉.net hanakotoba.net

資料2 LOVEGREEN lovegreen.net

資料3 FLOWER flowr.is

資料4 Oggi.jp oggi.jp

資料5 kurashi-no kurashi-no.jp

資料6 GreenSnap greensnap.jp

資料7 花言葉事典 hanakotoba.name

資料8 フラワーアレンジメント教室のブログ ameblo.jp

資料9 HORTI by GreenSnap horti.jp

資料10 チルの工房 花札庵 chills-lab.com

10本の本文に、花言葉の原典の書名は1件も出てきませんでした。だから花しるべは、英語の事典2冊を全文で検索し、植物の事実は辞書とキュー王立植物園のデータベース、季節の言い伝えは気象庁のページで確かめました(参考情報に一覧)。

タチアオイのよくある質問

Q. タチアオイの花言葉は何ですか。

A. 資料10本のうち「豊かな実り」が9本、「大望」「野心」「気高く威厳に満ちた美」が8本ずつに載っています。ウェザーニュースの2026年7月12日の記事では、日本花の会の研究員が「大望」「豊かな実り」「威厳」を挙げています。

Q. タチアオイの花言葉に怖い意味はありますか。

A. 資料10本に、怖い意味として載せている語はありませんでした。「野心」を少しネガティブにとらえる人もいると添える資料が1本あります。1851年と1884年の英語の事典は、Ambition を背の高さから来た語として載せています。

Q. タチアオイとムクゲはどう見分けますか。

A. タチアオイは1本の高い茎に花が縦に並ぶ草で、ムクゲは枝分かれした木に花が咲きます。ムクゲの花は朝に開いて夕方にしぼみ、中国では朝開暮落花とも呼ばれます。花期は、タチアオイが6〜8月、ムクゲは日本大百科全書で8〜9月です。

Q. タチアオイは何年草ですか。

A. 資料で書き方が割れています。日本大百科全書は多年草、世界大百科事典は二年草ないし多年草、キュー王立植物園は二年草または多年草です。春にまくとその年の夏に咲く一年生の品種(マジョレット・シルバーパフ)もあります。

Q. 葵祭の葵はタチアオイですか。

A. いいえ。葵祭の葵はウマノスズクサ科のフタバアオイで、徳川家の三つ葉葵の紋も同じです。英語版Wikipediaは葵祭を Hollyhock Festival と訳していますが、辞書の記述とは食い違います。

Q. タチアオイは何月何日の誕生花ですか。

A. 資料で日付が割れていて、1日には言い切れません。日付を書く8本のうち、6月23日が6本、6月18日と8月18日が5本ずつです。花しるべは6月18日の誕生花をタチアオイとしています。

まとめ

タチアオイは背の高い花穂に下から咲くアオイ科の草花で、花言葉は豊かな実りが9本、大望と野心が8本でした。

花しるべの考え:タチアオイは「名前と数字が、資料ごとに少しずつずれる花」

1つ目の段 高さは1〜3m、花期は6〜8月、花穂は下から上へ咲き進みます。ムクゲとフヨウは同じアオイ科の木で、葵祭と徳川家の紋の葵はフタバアオイです。

2つ目の段 花言葉は「豊かな実り」が9本、「大望」「野心」「気高く威厳に満ちた美」が8本。色別の語を載せるのは3本で、そろうのは黄色の「開放的」だけです。野心と豊かな実りは19世紀の英語の事典にも見えます。

3つ目の段 原産地、高さ、何年草か、英名の由来、誕生花の日付は、資料で割れます。花しるべはどれか1つに決めず、割れていること自体を書きます。

ほかの花の語と資料の厚みを比べるなら花言葉一覧(花の名前から探す)から、意味から花を探すなら意味から花を探す、色から探すなら色から花言葉を探す、日付から探すなら誕生花を日付から探すから入れます。

参考情報

  • 花言葉.net「タチアオイ」 https://hanakotoba.net/tachiaoi/
  • LOVEGREEN「タチアオイの花言葉」 https://lovegreen.net/languageofflower/p150486/
  • FLOWER「タチアオイの花言葉」 https://flowr.is/articles/130
  • Oggi.jp「タチアオイの花言葉」 https://oggi.jp/6768401
  • kurashi-no「タチアオイの花言葉」 https://kurashi-no.jp/I0041740
  • GreenSnap「タチアオイの花言葉」 https://greensnap.jp/article/8091
  • 花言葉事典「タチアオイ」 http://www.hanakotoba.name/archives/2005/09/post_133.html
  • フラワーアレンジメント教室のブログ(ameblo) https://ameblo.jp/woodhillg/entry-12975965147.html
  • HORTI by GreenSnap「タチアオイの花言葉」 https://horti.jp/8908
  • チルの工房 花札庵「タチアオイ」 http://chills-lab.com/flower/ta-ta-01/
  • コトバンク「タチアオイ」(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・世界大百科事典(旧版)) https://kotobank.jp/word/タチアオイ-3158061
  • コトバンク「ムクゲ」(日本大百科全書) https://kotobank.jp/word/ムクゲ
  • コトバンク「フヨウ」(日本大百科全書) https://kotobank.jp/word/フヨウ
  • コトバンク「フタバアオイ」 https://kotobank.jp/word/フタバアオイ
  • コトバンク「葵」(精選版 日本国語大辞典) https://kotobank.jp/word/葵
  • Royal Botanic Gardens, Kew「Plants of the World Online: Alcea rosea L.」 https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:558713-1
  • Royal Botanic Gardens, Kew「Plants of the World Online: Alcea L.」 https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:25775-1
  • 季節の花300「立葵」 https://www.hana300.com/tachia.html
  • Wikipedia日本語版「タチアオイ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/タチアオイ
  • Wikipedia日本語版「ムクゲ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ムクゲ
  • Wikipedia日本語版「フタバアオイ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/フタバアオイ
  • Wikipedia英語版「Alcea rosea」 https://en.wikipedia.org/wiki/Alcea_rosea
  • Wikipedia英語版「Alcea」 https://en.wikipedia.org/wiki/Alcea
  • Dictionary.com「althea」 https://www.dictionary.com/browse/althea
  • Merriam-Webster「hollyhock tree」 https://www.merriam-webster.com/dictionary/hollyhock%20tree
  • 気象庁「生物季節観測」 https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/index.html
  • ウェザーニュース「梅雨入り・梅雨明けを知らせる『タチアオイ』ってどんな花?」(2026年7月12日) https://weathernews.jp/news/202607/060241/
  • ウェザーニュース「関東の梅雨明けも間近?てっぺんまで咲いた『タチアオイ』の写真が多数到着」(2026年7月19日) https://weathernews.jp/news/202607/190221/
  • Project Gutenberg「Language of Flowers」(Kate Greenaway, 1884) https://www.gutenberg.org/cache/epub/31591/pg31591.txt
  • Project Gutenberg「The Language of Flowers」(Henrietta Dumont, 1851) https://www.gutenberg.org/cache/epub/71779/pg71779.txt
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