青いバラの花言葉を調べると、「夢かなう」「奇跡」「神の祝福」、そして「不可能」と、まったく違う言葉が並びます。
これは間違いが混ざっているのではなく、付けた人と付いた時期が違うからです。青いバラは、20年ほど前までこの世に存在しない花でした。存在しなかった花の意味と、存在するようになった花の意味が、いま同じページに並んでいるだけです。このページでは、その4つを出どころごとに分けたうえで、実際に贈るときに何を確かめればいいかまでまとめます。
この記事でわかること
- 「夢かなう」「喝采」は名付けた会社がわかる: 青いバラを開発したサントリーフラワーズが自分で付けた花言葉です。
- 「奇跡」は誰が付けたか特定できない: 広く使われていますが、出どころをたどれませんでした。諸説ありとして扱います。
- 「不可能」は2004年で終わった意味: 青いバラが存在しなかった時代の言い回しで、いまは使いません。
青いバラの花言葉は3つ。ただし出どころが違う
青いバラの花言葉は「夢かなう」「喝采」「奇跡」の3つで、それぞれ付けた人が違います。
「不可能」を加えた4つが、いま広く紹介されているものです。
| 花言葉 | 誰が付けたか | 花しるべの扱い |
|---|---|---|
| 夢かなう | サントリーフラワーズ(青いバラ「アプローズ」を開発した会社) | 典拠あり |
| 喝采 | 同上(商品名 APPLAUSE =拍手喝采の意味から) | 典拠あり |
| 奇跡/神の祝福 | 特定できない。多くの花屋・情報サイトが使っている | 諸説あり |
| 不可能 | 誰か一人ではなく、英語の慣用句から | 2004年以前の意味。いまは使われない |
このうち出どころがはっきりしているのは「夢かなう」と「喝采」の2つだけです。どちらも、青いバラを実際に作った会社が自分で名付けたものです。花言葉には公式の認定機関が存在しないため、「どれが正解か」を決められる立場の人はいません。ただし、その花を世に出した当事者が付けた意味は、由来をたどれるという点で扱いが違います。
「公式の花言葉」は存在しません
花しるべは、花言葉を認定する機関が無いという事実の上に立っています。ここで「典拠あり」と書いているのは正解という意味ではなく、誰がいつ言い出したかを資料で示せるという意味です。
色そのものから花を探したい場合は青い花から探すへ。
「不可能」だった時代 ── blue rose という英語
バラは青い色素を作る遺伝子をもともと持たず、英語の blue rose は「不可能」を指す言い回しでした。
品種改良は色を薄くしたり紫に寄せたりはできますが、青くすることだけは、どれだけ掛け合わせても届かない領域でした。この状況が長く続いた結果、英語の blue rose は「存在しないもの」「あり得ないこと」を指す言い回しとして定着します。日本語で「青いバラ=不可能」と紹介されるのは、ここから来ています。
つまり「不可能」は、誰かが花に込めた願いではありません。単に、無かったものを無いと言っていただけです。花言葉というより、事実の記述に近いものでした。
だからこそ、それが実在するようになった時点で、この花言葉は役目を終えます。
2004年に何が起きたか
2004年、サントリーフラワーズが世界で初めて青いバラの開発に成功したと発表しました。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1990年 | サントリーとオーストラリアのカルジーンパシフィック(現フロリジーン)が共同開発を開始 |
| 2004年6月30日 | 青い色素を持つバラの開発成功を発表 |
| 2008年1月31日 | カルタヘナ法にもとづく承認を取得。一般の圃場での栽培と市場流通が可能に |
| 2009年11月3日 | 切花「SUNTORY blue rose APPLAUSE(アプローズ)」として発売 |
開発の中身は、バラに無い遺伝子を他の植物から借りてくる、という方法です。パンジーが持つ青色系の色素をつくる遺伝子(F3’5’H)と、トレニアが持つ酵素の遺伝子を、バラに導入しています。掛け合わせでは絶対に届かなかったので、外から入れたということです。
開発開始から発表まで14年、発売までは19年かかっています。
そして、この花に「夢かなう」という花言葉を与えたのは、開発したサントリーフラワーズ自身です。不可能とされていたものが実現した、という経緯をそのまま言葉にしたものです。商品名の APPLAUSE(拍手喝采)から「喝采」も併せて示されています。
由来がここまではっきりしている花言葉は、他にほとんどありません。
「奇跡」は誰が付けたのか
「奇跡」を誰が付けたのかは、花しるべでは特定できませんでした。諸説ありとして扱います。
「青いバラ=奇跡」は、花屋のサイトでも情報サイトでも非常によく見かけます。検索上位のページの多くが採用しています。しかし、いつ・誰が・どういう理由で付けたのかを示している資料は、いまのところ見つかっていません。サントリーが示しているのは「夢かなう」と「喝采」で、「奇跡」ではありません。
考えられるのは、開発の経緯を説明する言葉として使われていたものが、そのまま花言葉として扱われるようになったという流れです。「不可能が実現した」を一語で言えば「奇跡」になります。言葉としては自然で、意味も外していません。
だから花しるべは「奇跡」を間違いとは言いません。ただ、「夢かなう」と同じ確からしさで並べることもしません。
贈るときにこれが問題になるか
ほとんどなりません。「奇跡」でも「夢かなう」でも、伝わる方向は同じです。気にするべきなのは、メッセージカードに「花言葉は奇跡です」と断定して書くかどうかくらいで、そこだけ「奇跡とも夢かなうとも言われます」にしておけば、誰にも間違いになりません。
「怖い」意味はあるのか
青いバラに怖い花言葉は確認できていません。バラで色を気にするなら黄色と黒のほうです。
「青いバラ 花言葉 怖い」と検索されることが多いのは、バラという花に怖い意味を持つ色があるからです。具体的には次の2つで、青ではありません。
- 黄色 ── 「友情」と同時に「ジェラシー」の意味を持ちます。西洋では黄色は伝統的に裏切りの色とされてきました
- 黒 ── 「憎しみ」などの意味が商業サイトで紹介されています。ただし花しるべではまだ典拠を確認できていないため断定しません。詳しくは黒いバラの花言葉へ
青について唯一ひっかかるとすれば、かつての「不可能」です。「叶わない」「あり得ない」と読めるため、受験や挑戦の場面で贈るときに気にする人がいます。ただしこの意味は青いバラが実在しなかった時代のもので、現在この意味で紹介しているサイトはほぼありません。気になる場合は、カードに「夢かなう」と書き添えれば誤解の余地は消えます。
本数で意味が変わる(青でも同じ)
バラの意味は色と本数の2つで決まり、これは青いバラでも変わりません。本数は必ず確かめてください。
「夢かなう」の青を選んでも、本数を間違えると別のメッセージが混ざります。
| 本数 | 意味 |
|---|---|
| 1本 | 一目惚れ |
| 3本 | 愛しています・告白 |
| 12本 | 付き合ってください(ダズンローズ) |
| 13本 | 永遠の友情 |
| 108本 | 結婚してください |
12本と13本が隣り合っているのが最大の落とし穴です。1本多いだけで恋愛から友情に切り替わります。
本数の意味は22区分あり、全体はバラの花言葉にまとめています。108本についてはバラ108本の意味へ。
なお、意味を強く出したくないときは、本数の意味が付いていない数(15本・20本など)を選ぶ手があります。「夢かなう」だけを伝えたい場面では、そのほうが素直に届きます。
いちばん青いバラはどれか
「アプローズ」は実際には青紫色です。空のような純粋な青いバラは、まだ存在していません。
これは隠されている話ではなく、開発したサントリー自身がより青に近づける研究を続けていると説明しています。空の青やリンドウの青を想像して現物を見ると、多くの人が「紫だ」と感じます。贈る前に写真で色を確認しておいたほうが確実です。
バラ青色として流通しているものは、大きく3種類あります。
| 種類 | 実際の色 | 例 |
|---|---|---|
| 遺伝子組換え品種 | 青紫。バラとして初めて青系の色素を持つ | アプローズ |
| 従来の品種改良 | 藤色〜赤紫。青色素は持たない | ブルームーン、ラプソディ・イン・ブルーなど |
| 染めたもの | いちばん鮮やかな青。白いバラに染料を吸わせる | 花屋で「ブルーローズ」として売られるものの多く |
見た目としていちばん青いのは、実は染めたバラです。色素として青を持っているかどうかと、目に青く見えるかどうかは別の話です。染めであっても花言葉は変わりません。花言葉は色に対して付いているためで、贈り物として問題になることもありません。
では「本当に青いバラ」はもう作れないのか。2018年に、白いバラの花弁のなかで細菌由来の酵素を働かせ、花弁にもともと含まれるL-グルタミンから青色色素(インディゴイジン)を作らせる研究が発表されています。色は斑(まだら)で長持ちせず、そのまま花屋に並ぶ段階ではありませんが、アプローズとはまったく別の方法で青に届いたという点で、続きがある話です。
青いバラを贈る場面
「夢かなう」は恋愛以外でも使える珍しい花言葉なので、贈る場面をあまり選びません。
赤いバラが恋愛にほぼ限定されるのに対して、青は次のような場面で無理なく使えます。
- 合格祝い・受験前の激励 ── 「夢かなう」がそのまま効く。年齢も性別も問わない
- 開業・独立・転職 ── 不可能を実現した花、という背景ごと渡せる
- 発表会・大会・挑戦の前 ── 応援の意味になる
- プロポーズ ── 「夢かなう」+12本のダズンローズは意味が重なる。ただし赤より珍しさが前に出るので、相手が驚きを喜ぶ人かどうかで決まる
男性に贈っても浮きません。バラは女性に贈るものという印象がありますが、青は色として選びやすく、意味も恋愛に寄っていないためです。
注意点が1つ。アプローズは一般的なバラより高価で、常時どの花屋にもあるものではありません。日付が決まっている贈り物なら、事前に取り寄せを頼んでおくのが確実です。染めの青バラで代替できるかも含めて、花屋に相談してください。
プロポーズの本数や渡し方はプロポーズに贈る花にまとめています。
よくある質問
Q. 青いバラの花言葉は「奇跡」と「夢かなう」のどちらが正しいですか。
A. どちらも間違いではありません。「夢かなう」は青いバラを開発したサントリーフラワーズが付けた花言葉で、由来をたどれます。「奇跡」は広く使われていますが、誰がいつ付けたのかを示す資料を花しるべでは確認できていません。カードに書くなら「夢かなう」が確実です。
Q. 青いバラは自然に咲きますか。
A. 咲きません。バラは青い色素を作る遺伝子を持たないため、自然にも従来の品種改良でも青にはなりません。現在流通している青いバラは、遺伝子組換え品種か、染めたものです。
Q. 遺伝子組換えの花を贈っても大丈夫ですか。
A. 問題ありません。2008年にカルタヘナ法にもとづく承認を受けており、通常の切花として合法に栽培・流通しています。気になる相手であれば、その背景ごと伝えると開発の物語として喜ばれることが多い題材です。
Q. 青いバラは高いですか。
A. 一般的なバラより高くなります。生産量が限られているためで、花屋に在庫が常にあるとも限りません。染めの青バラであれば入手しやすく、価格も抑えられます。
Q. 青いバラに「怖い」意味はありますか。
A. ありません。かつて「不可能」の意味がありましたが、これは青いバラが存在しなかった時代のもので、現在は使われていません。バラで意味を気にすべきなのは黄色(ジェラシー)と黒です。
まとめ
青いバラの花言葉は「夢かなう」。この花を実際に作った会社が、開発の末に付けた言葉です。
「奇跡」も同じ方向を向いた言葉ですが、出どころは特定できていません。かつての「不可能」は、花が実在するようになった時点で役目を終えています。
恋愛に限定されない花言葉なので、贈る相手を選びません。合格祝いにも独立祝いにも使えます。プロポーズで使うなら本数のほうが効きます。場面ごとの選び方は贈る場面から探すにまとめています。
参考情報
- サントリーフラワーズ「APPLAUSE(アプローズ)」(「夢かなう」「喝采」の命名。開発した会社の一次資料)
- 青いバラの開発年表(1990年の共同研究開始から2009年の国内販売まで)はWikipedia経由です。サントリー公式ページでの目視確認は未了
- ACS Synthetic Biology / phys.org 2018年10月(インディゴイジンによる青色化。2018年時点の到達点)
- 花しるべ 花言葉編集規程 v01(典拠あり/諸説あり/花しるべの提案の3区分)

