黒いバラの花言葉|怖い意味はある?

黒いバラの花言葉|怖い意味はある?

黒いバラの花言葉を調べると、「永遠の愛」と「憎しみ」が並んで出てきます。正反対です。

先に結論を書きます。怖い意味は、たしかに広く流通しています。ただし「愛」の側も「憎しみ」の側も、どちらにも確かな出どころがありません。片方が正しくて片方が俗説、という関係ではないのです。このページでは、なぜそんなことになっているのかを、黒いバラという花が世に出た年から説明します。

この記事でわかること

  • 黒いバラの花言葉に典拠はない: 業界団体の辞典はバラを7色載せていますが、黒はそこにありません。
  • 「永遠の愛」と「憎しみ」が同居する: 正反対の意味が並ぶのは、黒という色から伸びる連想が2方向あるためです。
  • 真っ黒なバラは存在しない: 黒バラと呼ばれているのは、深い赤や赤黒い花色の品種です。
目次

黒いバラの花言葉は、正反対の2つが同居している

一般に紹介されている黒いバラの花言葉は、大きく2つの方向に分かれます。

方向 よく挙げられる花言葉 ラベル
愛の側 永遠の愛/決して滅びることのない愛/神秘 諸説あり
執着・憎しみの側 あなたはあくまで私のもの/憎しみ/恨み/あなたを呪う/死ぬまで憎みます 諸説あり

ラベルについて

花しるべでは、花言葉を「典拠あり」「諸説あり」「花しるべの提案」の3つに分けて表示しています。上の表がすべて「諸説あり」なのは、業界団体や辞典の資料で確認できる黒いバラの花言葉が、ひとつも見つからなかったからです。理由は次の章で説明します。

愛の側

「永遠の愛」という意味は、黒=色褪せない、変わらないという連想から来ています。

赤い花はいずれ枯れて色を失いますが、黒はそれ以上変わりようがない。変化しない色だから、変化しない感情という読み替えです。

「神秘」も同じ流れで、見慣れない色であること自体が意味になっています。

愛にまつわる花言葉をまとめて見たい場合は愛の花言葉へ。

執着と憎しみの側

「あなたはあくまで私のもの」は、愛の側と憎しみの側のちょうど中間にある言葉です。

愛情の表現として紹介されることもあれば、束縛の意味で紹介されることもあります。

「憎しみ」「恨み」「あなたを呪う」は、黒が喪と結びついていることから来ています。日本でも西洋でも黒は葬儀の色で、そこから死・不吉・呪いへ連想が伸びています。

どちらにも典拠が無い、という事実

黒いバラの花言葉は、業界団体の資料にも辞典にも載っていません。ここが一番大事なところです。

上の表の花言葉は、どれも複数のサイトで見かけます。しかし花しるべが確認した限り、業界団体の資料にも、花の会の資料にも、育種会社の資料にも、黒いバラの花言葉は載っていません。

たとえば一般社団法人 花の国日本協議会が運営する「はじめて花言葉辞典」は、バラの色別花言葉を赤・ピンク・黄・オレンジ・白・紫・青の7色で掲載していますが、黒の項目はありません(2026年8月29日確認)。

つまり黒いバラの花言葉は、どこかで誰かが決めたものが広まった、というより、色の連想から自然発生的に付いていったものです。だから正反対の意味が同時に成立してしまいます。

「本当はどっちなの」という問いに、正解はありません。

「怖い」と言われるのはなぜか

黒いバラを検索すると「怖い」という語がよく一緒に出てきます。理由は2つあります。

理由1:黒という色が喪と結びついている

黒は葬儀の色で、そこから死を連想させます。これは分かりやすいほうの理由です。

魔女、悪魔、呪いといったイメージとも結びつきやすく、日本語でも「どす黒い」のように否定的な文脈で使われます。

この連想はバラに固有のものではありません。黒い花全般、黒い服、黒い箱にも同じように働きます。

理由2:黒いバラは新しい花で、花言葉の体系に席が無い

黒いバラは新しい花で、花言葉の体系ができた時代には、まだこの世に存在していませんでした。

花言葉として今も引用されている意味の多くは、19世紀の西欧で編まれた本に由来します。ところが黒いバラと呼ばれる品種が世に出たのは、20世紀後半以降です。

品種 作出年 作出
パパメイアン 1963年 メイアン(フランス)
黒真珠(くろしんじゅ) 1988年 京成バラ園芸・鈴木省三(日本)
ブラックバカラ 2000年 メイアン(フランス)
真夜(まよ) 2010年 河合伸志(日本)

花言葉の本が書かれた時代に、この花はまだ存在していません。

だから伝統的な辞典に黒いバラの項目が無いのは、書き落としではなく当たり前なのです。載せようがなかった。

席が空いていたところに、後から意味が流れ込みました。流れ込んだのは花の姿でも由来でもなく、「黒」という色に対して人が持っているイメージです。そしてそのイメージは、もともと一枚岩ではありません。黒は喪の色であると同時に、正装の色であり、高級品の色でもある。

だから正反対の意味が同時に流通している

「永遠の愛」も「憎しみ」も、同じ場所から出てきています。黒に対する連想を、良い方向に引いたか悪い方向に引いたかの違いだけです。

花しるべの考え(花しるべの提案)

黒いバラの花言葉として、花しるべは「変わらないもの」を提案します。

由来は品種の来歴です。黒いバラは、育種家が半世紀かけて濃い色を追い続けた結果として生まれた花で、パパメイアン(1963)からブラックバカラ(2000)までの流れそのものが「変わらずに求め続けた」という物語を持っています。愛にも執着にも振れる前の、その手前にある共通項がこれです。

これは業界団体の資料にある花言葉ではなく、花しるべが由来から導いた提案です。上の表の「諸説あり」とは区別してお読みください。

なお、他の花で「怖い」とされる花言葉については、赤や黄色のバラにも似た話があります。バラ全体の色別の意味はバラの花言葉にまとめています。

そもそも「真っ黒なバラ」は存在しない

真っ黒なバラは存在しません。花言葉より先に、ここを知っておいたほうが確実です。

黒バラの正体は濃い赤・赤紫

バラは黒い色素を持っていません。「黒バラ」と呼ばれて売られているものは、黒みがかった濃い赤、または赤紫です。

先ほどの表のブラックバカラは「最も黒いバラ」と紹介されることが多い品種ですが、実際の花色は黒に近い赤です。濃い赤の花びらが何枚も重なって、影の部分が黒く見える──それが黒バラと呼ばれている状態です。

`黒いバラ 赤黒い` という探し方をする人が一定数いるのは、実物を見た人の印象として、そちらのほうが正確だからです。

咲きはじめが最も黒く、開くにつれて赤みが出てきます。日照や気温でも見え方が変わります。写真で見たとおりの黒さを期待して買うと、たいてい印象が違います。

染めた黒バラという選択肢

インクのような真っ黒を求めるなら、白いバラを染めたものという選択肢になります。

染色液を吸わせて着色したもので、花屋やネットショップで扱いがあります。

染めであることは欠点ではありません。花言葉は色に対して付いているので、染めであっても意味は変わりません。ただし品種としての黒バラとは別物で、香りも姿も違います。どちらを想像しているのかを先に決めてから探すと、探し方が変わります。

代表的な黒バラの品種

「黒薔薇」という名前の品種はありません。黒っぽく見える品種に、それぞれ名前が付いています。

品種名 特徴
パパメイアン 1963年フランス作出。黒バラの代表格で、強い香りを持つ。1988年に世界バラ会議の栄誉の殿堂入り
ブラックバカラ 2000年フランス作出。黒バラの中で最も黒いと言われる。花色は黒みがかった赤
黒真珠 1988年、京成バラ園芸の鈴木省三による日本の品種
真夜 2010年、河合伸志による日本の品種
ルイ14世 古い品種で、黒バラとして紹介されることが多い

贈り物として花屋で買う場合、品種を指定できるとは限りません。「黒っぽいバラを」と伝えるのが現実的です。品種を選びたい場合は、苗を扱う専門店のほうが確実です。

トルコの「黒い薔薇」はどこまで本当か

真っ黒なバラは存在しない、と書きました。それでも必ず出てくるのが「トルコには天然の真っ黒なバラが咲く」という話です。インクのように黒い花の写真とセットで、広く出回っています。

産地は実在します

トルコ南東部シャンルウルファ県、ユーフラテス川沿いのハルフェティという町です。土壌の酸性度と独特の気候が花色に効いているとされ、同じ株を別の場所に植えると色が出ないか、香りが失われると言われます。咲くのは年に2回、春と秋だけで、時期がずれると見ることができません。

ただし、花は真っ黒ではありません

現地を訪れた記事は、花の色を「黒みを帯びた深紅」と表現しています。赤で咲きはじめ、咲いているうちに黒みを帯びていく ── ここまで見てきた他の黒バラと、まったく同じ見え方です。

そして、拡散している漆黒のバラの写真は加工されたものです。複数の検証記事が同じ結論を出しています。インクのように真っ黒な花の画像を見たことがあるなら、それは実物ではありません。

産地そのものも縮小しています

2000年のビレジクダム建設で旧市街が水没し、住民とバラは新しい土地へ移りました。移った先では栽培が難しく、現在はニューハルフェティのビニールハウスで細々と栽培・収穫されていると伝えられています。

実在するが、真っ黒ではなく、いま量も多くない。これが実際のところです。「トルコ産の天然の漆黒のバラ」として売られているものがあれば、それは染めか、色を誇張した写真です。

本数の意味は「黒だから」ではない

黒いバラに固有の本数の意味はありません。本数の意味は、色とは別の軸で決まります。

バラには1本=一目惚れ、3本=愛しています、12本=付き合ってください、108本=結婚してくださいといった本数ごとの意味があり、これは業界団体の資料に載っている、典拠のある花言葉です。

ただしこれはバラ全体に付いているもので、色は関係しません。黒いバラ3本の意味は「愛しています」で、赤いバラ3本と同じです。

「黒×本数」で特別な意味が生まれるわけではない、と考えてください。本数の一覧はバラの花言葉にまとめてあります。

黒いバラを贈ってよい場面・避けたい場面

贈ってよいかどうかは、花言葉ではなく相手で決まります。黒を好む人になら問題ありません。

向いている場面

向いているのは、相手が黒を好んでいる場合と、表現の場に向けた贈り物の2つです。

  • 相手が黒い色を好んでいる場合。服でも小物でも、黒を選ぶ人には素直に喜ばれます
  • 舞台・音楽・美術など、表現の場に向けた贈り物。強い色として成立します
  • 他の色と混ぜた花束の一部として。赤と合わせると濃淡が出て、黒単独ほど意味が前に出ません

避けたほうがよい場面

避けたいのは、関係が浅い相手・お見舞い・祝い事で黒だけを贈る、この3つの場面です。

  • 相手が花言葉を気にする人で、かつ関係がまだ浅い場合。「憎しみ」の側を知っている可能性があります
  • お見舞い。黒に限らず、色の濃い花・強い香りの花は避けるのが一般的です
  • 結婚・出産などの祝い事で、単独の黒。縁起を気にする人がいます

誤解を防ぐ方法がひとつだけあります

メッセージカードを添えて、自分がどの意味で贈るのかを書き添えることです。

黒いバラの花言葉は正反対の2つが流通していて、受け取る側がどちらを知っているかを、贈る側は選べません。「永遠の愛のつもりだった」は、カードが無ければ伝わりません。花言葉に頼らず、言葉で書いてください。

花の贈り方全般は花ギフトの選び方へ。

他の色のバラの花言葉

黒は、バラの色別花言葉の体系の外側にあります。業界団体の資料にある7色に黒はありません。

その7色は、赤・ピンク・黄・オレンジ・白・紫・青です。

典拠のある色の意味を知りたい場合はバラの花言葉へ。色ごとの詳しい話は、青いバラ・赤いバラのページで扱います。

よくある質問

Q. 黒いバラに誕生花はありますか。

A. 誕生花は花の種類ごとに決まっていて、色まで指定する体系はありません。バラそのものが誕生花に割り当てられている日はあります。日付から探す場合は誕生花から探すへ。なお雑誌などが「今日の花」として特定の品種を紹介することはありますが、それは各媒体の企画で、共通の決まりではありません。

Q. 黒いバラの花言葉は結局どれが正しいのですか。

A. 正しいものはありません。花言葉を公式に認定する機関が存在しないうえ、黒いバラについては業界団体・辞典のいずれにも記載が見つかりませんでした。このページでは流通している意味を両方載せ、花しるべとしての提案を別枠で書いています。

Q. 恋人に黒いバラを贈るのは避けたほうがいいですか。

A. 相手によります。黒を好む人なら問題ありません。花言葉を気にする人であれば、赤と混ぜるか、メッセージカードで意味を書き添えてください。

Q. 黒バラは花屋で普通に買えますか。

A. 常時置いてある花ではありません。取り寄せになることが多いので、必要な日が決まっているなら早めに相談してください。染めた黒バラのほうが手に入りやすい場合もあります。

Q. 黒いバラは自分で育てられますか。

A. 苗は流通しています。ただしパパメイアンのような古い品種は病気に弱いものが多く、初心者向けとは言いにくいところがあります。濃い色は日差しが強いと傷みやすいので、置き場所も選びます。

まとめ

黒いバラの花言葉は「永遠の愛」と「憎しみ」が同居し、どちらにも確かな出どころがありません。

黒という色のイメージが、後から花のほうへ流れ込んだものです。

理由は単純で、黒いバラという花は1963年以降に生まれた新しい花だからです。花言葉の本が書かれた時代に、この花はまだありませんでした。

だから怖がる必要も、意味を真に受ける必要もありません。贈るなら、花言葉ではなく相手の好みで選び、伝えたいことはカードに書いてください。

典拠のある色の意味を知りたい場合はバラの花言葉へ。

参考情報

  • 一般社団法人 花の国日本協議会「はじめて花言葉辞典」色別ページ(バラは7色。黒の掲載はありません。2026年8月29日確認)
  • 品種の作出年(パパメイアン1963年/黒真珠1988年/ブラックバカラ2000年/真夜2010年)はWikipediaと園芸サイト由来です。育種会社の一次資料での確認は未了
  • 「病気に弱い」「日差しで傷む」は園芸サイトの記述で、花しるべの実測ではありません
  • 花しるべ 花言葉編集規程 v01(典拠あり/諸説あり/花しるべの提案の3区分)
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